かつて日本では「三無主義」という言葉があり、これは公務員を揶揄する言葉で「休まず、遅れず、働かず」という意味でした。しかし、現代の日本では、この三無主義が少し形を変え、「休まず、遅れず、働いているふり」という形で、サラリーマンの処世術として存在しているようです。
「休まず、遅れず」:これは民間企業でも公務員でも共通して重要視されることです。会社を休まないこと、遅刻をしないことは、日本の会社では非常に厳しく見られます。たとえ前日に飲み会で深酒をして二日酔いであっても、会社には行くのが「正しい日本人の姿」だと考えられています。
「働いているふり」:これは、特にオフィスワークで顕著に見られる現象です。仕事がなくても、何か仕事をしているように見せなければならないという状況があります。例えば、コンビニの店員が暇な時に、棚の商品を整理したり、出し入れしたりするのも、働いているふりをするための一例です。
なぜ「働いているふり」をするのか
- 仕事内容の不可視性:現代のオフィスワークは細分化・分業化が進み、各社員が何をしているのか、周囲からは見えにくい状況です。上司も部下も、同僚が実際に何をしているのかを把握することが難しくなっています。
- 成果だけでは不十分:たとえ仕事をきちんとこなし、成果を上げていても、それだけでは評価されない場合があります。特に日系企業では、「頑張っている」ということを周囲にアピールする必要があり、それがなければ上司が評価できないという状況があります。
- 評価のための方策:そのため、社員は忙しいふりをしたり、パソコンを叩く音を大きくしたり、ため息をついたりして、周囲に「自分は頑張っている」というアピールをします。
この状況を変えるには
この「働いているふり」をする状況は、現代のサラリーマンの悲劇であると言えるでしょう。この状況を変えていくためには、まずこの問題を直視し、一人一人が「なぜこんなことをしているのか」という愚かさに気づく必要があります。そして、仕事をしたのであれば、堂々と残りの時間を休むなど、余裕を持つことが大切です。