世間に根付く「楽な仕事はない」という常識
「世の中に楽な仕事なんてない」── この言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。
どんな仕事にも裏側の苦労があり、報酬を得る以上「楽」は存在しないというのが世間の通念です。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
今回は「楽な仕事は存在しない」という考え方を取り上げ、“楽”とは何を意味するのかを掘り下げて考えてみます。
“楽”の基準は人によって違う
「楽」という感覚は、絶対的なものではなく、人それぞれの適性や価値観で変わるものです。
1. 体力的な楽さ
肉体労働は、体力に自信がない人には苦痛でしかありません。私も若い頃、引っ越しアルバイトを数時間しただけでクタクタになった経験があります。
しかし、体を動かすことが好きな人にとっては、それがかえって気楽に感じられる場合もあります。
2. 精神的な楽さ
逆に、データ入力のように黙々とこなす仕事は、対人ストレスが少なく、精神的に楽だと感じる人もいます。
一方で、常に人との関わりを求めるタイプにとっては、無言の作業は「楽」どころか苦痛に映るかもしれません。
つまり「楽な仕事」とは普遍的なものではなく、その人の得意・不得意によって変わる相対的なものなのです。
なぜ「楽な仕事はない」と言われるのか?
それでも社会は「楽な仕事はない」と強調します。その理由は大きく二つあります。
理由1:ねたみを避ける建前
「自分は楽をしている」と口にすれば、すぐに妬まれたり批判されたりします。だからこそ、実際に楽な仕事をしている人でさえ、公には「楽ではない」と言うのです。
理由2:処世術としての方便
「楽な仕事はない」と言っておけば、余計な敵を作りません。これは社会を渡る上での処世術でもあります。
事例で見る「楽な仕事」のリアル
世間の建前とは裏腹に、実際には「楽だ」と感じられる仕事は存在します。私自身の経験から二つ紹介します。
事例1:タイでのルートセールス
タイで工場向け消耗品のルート営業をしていた頃、新規開拓のノルマはなく、顧客との関係維持が中心でした。
一度関係ができてしまえば、仕事量は少なく、自由時間も多い。今思えば、これはかなり「楽な仕事」でした。
事例2:バンコクでの編集作業
一方で、別の会社で担当したサプリメント関連の記事編集は全く楽ではありませんでした。
創造性が必要な仕事でありながら、管理は分刻みで厳格。裁量がなく、常に監視されている感覚があり、精神的に大きな負担を感じました。
結論:楽な仕事は存在する。ただし基準は人それぞれ
この二つの事例からわかるのは、「楽な仕事」の基準は絶対ではなく、本人の適性と環境によって変わるということです。
「楽な仕事はない」という言葉は、社会的な建前にすぎません。
実際には、自分にとって“楽”と感じられる仕事は必ず存在するのです。
大切なのは、世間の価値観に縛られることなく、
👉 「体力的に楽なのか」
👉 「精神的に楽なのか」
👉 「人間関係が楽なのか」
自分がどの“楽”を重視するのかを理解すること。
それこそが、自分にとって快適に働ける仕事を見つける第一歩になるのではないでしょうか。