就職や転職を考えるとき、多くの人はまず「職種」で仕事を見ます。
営業職。
事務職。
エンジニア。
経理。
マーケティング。
もちろん、それ自体は間違いではありません。
しかし、社会に出てしばらくすると、多くの人がある違和感を抱くようになります。
「同じ営業なのに、なぜこんなに給料が違うのか?」
実際、同じように営業をしていても、年収300万円台の人もいれば、800万円、1000万円近くもらっている人もいます。
しかも、その差は必ずしも“本人の努力”だけで説明できません。
そこには、学校ではあまり教えられない「業界構造」の問題があります。
給料は「能力」だけでは決まらない
日本社会では、「頑張れば報われる」「能力が高い人ほど稼げる」と説明されがちです。
もちろん、それも一部は事実でしょう。
しかし現実には、同じくらい真面目に働いていても、所属する場所によって給料は大きく変わります。
例えば、「ガス業界の営業」という言葉だけを見ると、同じ仕事に見えるかもしれません。
ですが実際には、
- インフラを持つ大手ガス会社
- 総合商社
- 地域の販売代理店
- 下請け保守会社
では、給与水準も働き方も大きく違います。
つまり重要なのは、「営業かどうか」ではなく、
その人が“業界のどの位置”にいるか
なのです。
「本体」と「代理店」では、最初から条件が違う
世の中には、「利益を握る側」と、「利益を分配される側」があります。
これは能力論というより、構造論です。
例えば、大手企業本体は、
- ブランド
- インフラ
- 価格決定権
- 顧客基盤
- 資本力
を持っています。
つまり、「ルールを作る側」です。
一方で、代理店や販売店は、その商品を“売る役割”を担います。
もちろん社会に必要な仕事です。
しかし、利益率はどうしても薄くなりやすい。
なぜなら、利益の大部分は上流で確保されるからです。
すると、現場では何が起きるか。
「数を売れ」
「契約を取れ」
「もっと回れ」
という圧力が強くなります。
つまり、代理店型ビジネスほど、「量」で勝負する構造になりやすいのです。
なぜ現場は苦しくなるのか
利益率が低い仕事には、共通点があります。
それは、「人間の頑張り」で埋めるしかないことです。
例えば、
- 長時間労働
- 精神論
- ノルマ
- 気合い
- 根性営業
こうしたものが強くなりやすい。
なぜなら、構造的に利益が薄いため、人間側が無理をすることでしか数字を維持できないからです。
逆に、上流側の企業ほど、一人当たり利益が大きい。
すると、
- 福利厚生
- 給与
- 労働環境
- 教育制度
にも余裕が出ます。
つまり、「人が優秀だから儲かる」のではなく、
儲かる構造にいるから、人に余裕が生まれる
という側面も大きいのです。
学校では「構造」を教えてくれない
学校教育では、比較的きれいな話が多く語られます。
努力。
やりがい。
挑戦。
夢。
もちろん、それ自体は大切です。
しかし、現実社会には「富がどこで発生し、誰が利益を取っているのか」という構造があります。
そして、その構造によって、同じ職種でも待遇が大きく変わる。
ところが、この話はあまり表立って語られません。
なぜなら、「完全な平等ではない」という現実を含んでいるからです。
しかし、社会に出ると、多くの人が肌感覚で気づき始めます。
「同じ頑張りでも、場所によって全然違う」と。
「どこで働くか」は人生を大きく左右する
もちろん、すべての人が大企業へ行けば幸せという話ではありません。
地域密着型の会社には、その良さがあります。
小さな会社には自由さもあります。
ただ、「構造」を知らないまま仕事を選ぶのと、理解した上で選ぶのでは、大きな違いがあります。
重要なのは、
- この会社はどこから利益を得ているのか
- 誰が価格決定権を持っているのか
- 上流なのか下流なのか
- 代替されやすい立場なのか
を観察することです。
世の中は、「仕事内容」だけで動いているわけではありません。
むしろ、「どの構造の中に配置されるか」で、人生の難易度が大きく変わることがあります。
「職種」より「構造」を見る視点
これからの時代は、「何の仕事をするか」だけではなく、
「どの構造の中で働くか」
を見る視点がますます重要になっていくでしょう。
営業職そのものが悪いわけではありません。
代理店が悪いわけでもありません。
しかし、社会には確かに、
- 利益を握る側
- 利益を分配される側
が存在します。
そして、その違いは、個人の努力だけでは埋められない部分もある。
だからこそ、仕事選びでは「仕事内容の綺麗さ」だけではなく、「富の流れ」を見ることが大切なのです。
求人票を見るときも、
「この会社は、業界のどこで利益を取っているのか?」
という視点を持つだけで、社会の見え方はかなり変わってくるはずです。