成功することは素晴らしいことです。
仕事で成果を出す。
会社を大きくする。
資産を築く。
多くの人から評価される。
そこには努力もあり、運もあり、さまざまな苦労があったはずです。
しかし、成功には一つの危険もあります。
それは、自分の考え方だけでなく、自分自身まで正しいと思い込みやすくなることです。
成功は強い自己肯定を生む
人は成功すると、「自分の判断は間違っていなかった」と考えます。
これは自然なことです。
実際に成果が出ているのですから、自信を持つのは当然でしょう。
しかし、その自信は少しずつ広がっていきます。
仕事のやり方だけではありません。
人生観。
価値観。
人との接し方。
そうしたものまで、「自分が正しい」と感じるようになることがあります。
ここから、成功体験は自己正当化へと変わっていきます。
成功と人格は別の問題
現代では、お金を稼いだ人や有名になった人が、人格まで優れているように扱われることがあります。
SNSでもよく見かけます。
成功した経営者が人生を語る。
資産を築いた人が人間論を語る。
フォロワーの多い人が幸福論を語る。
もちろん、その話に学ぶべき点はたくさんあります。
しかし、経済的な成功と人格的な成熟は同じではありません。
会社を経営する能力と、人に優しく接する能力は別です。
事業を成功させる才能と、他人を理解する力も別です。
成功は、その人の一部を証明することはできます。
しかし、その人間すべてを証明するわけではありません。
組織でも同じことが起こる
これは会社でもよく見られます。
仕事ができる人ほど、「自分のやり方が一番正しい」と思いやすくなることがあります。
部下に細かく指示を出す。
自分と同じやり方を求める。
価値観まで押し付ける。
いわゆるマイクロマネジメントが起きる背景にも、こうした心理があるのかもしれません。
本人には悪気がありません。
「自分はこの方法で成功したのだから、きっと正しい。」
そう信じているからです。
数字が人格を評価する社会
現代は数字が重視される社会です。
売上。
利益。
資産。
フォロワー数。
登録者数。
数字は分かりやすく、人を評価しやすくします。
しかし、その便利さゆえに、私たちは数字と人格を混同しやすくなっています。
成功している人は人格も優れている。
失敗している人は価値が低い。
そんな単純な見方が広がりやすくなっています。
けれど、本来はそうではありません。
人格は数字では測れないものです。
成功者ほど、自分を疑うことが難しい
成功が続くほど、人は周囲から肯定されます。
褒められる。
尊敬される。
影響力が増える。
すると、自分を疑う機会が少なくなります。
異論を言われることも減ります。
だからこそ、成功した人ほど、自分自身を客観的に見ることが難しくなる場合があります。
これは能力の問題ではありません。
人間なら誰にでも起こり得ることです。
おわりに
お金を稼ぐことは大切です。
仕事で成果を出すことも素晴らしいことです。
しかし、それと人格は別の問題です。
成功したからといって、自分の価値観が絶対に正しいとは限りません。
むしろ、成功したときほど、「自分は思い違いをしていないだろうか」と問い直す姿勢が必要なのではないでしょうか。
成功は、自信を与えてくれます。
しかし同時に、自分を過信する危険も運んできます。
だからこそ、どれだけ成果を上げても、自分を疑う視点を持ち続けること。
それが、長く成長し続ける人に共通する姿勢なのかもしれません。