今日のテーマは、ビジネスの世界における「他人へのアピール」、そして**「自画自賛」の話を聞くのがしんどい**ということについてお話ししたいと思います。
サラリーマンとして生きていく上で、まず考えなければならないことの一つに、他人へのアピールがあげられます。特に日本の企業においては、この傾向がよく当てはまるようです。なぜなら、会社という場所では、ただ黙々と真面目に仕事をしているだけでは不十分だからです。自分で仕事をして結果を出すことは最低限のことかもしれませんが、それだけでは足りません。
最も大切になってくるのは、会社において、特に上司や社長に対し、自分自身がどれだけ有能で使える人間なのかをアピールすることです。暇さえあればアピールし、自己宣伝していくことが大切なのですね。もし自己宣伝を怠ってしまうと、「真面目にやっているけど覇気が足りない」といった見られ方をされてしまうこともあります。これは会社では非常に損をしてしまうことなのです。
正直なところ、会社であまり活躍していなかったり、仕事がそれほどできなくても、上司や社長へのアピールが非常にうまい人は、その実力以上に評価されるということが結構あります。これは決して見過ごすべきではない現実だと思います。
もちろん、傍から見ればあまり美しくない光景に見えるかもしれません。中には、大ボラを吹いて「俺は仕事ができるんだ」「こんなプロジェクトを成功させた」と吹聴して回るような人もいます。大ボラを吹くのが下手な人もいますが、中にはすごく得意でうまい人もいるのです。そういう人は、うまくタイミングを見計らってホラを吹くことで、周囲や経営者が「こいつはすごいな」「この人に任せておけば大丈夫だろう」と騙されてしまうこともあるということです。
このアピールの仕方を学ぶためには、周りの人を注意深く観察してみるのも良い方法かもしれません。どんな人がどうやってアピールしているのかを見ていくことで、うまいアピールの仕方を現場で学ぶことにもつながるでしょう。
しかし、確かにアピールは必要だとしても、アピールすること自体に「かっこ悪い」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。昔の日本には、「何も言わずに、とにかく実行して結果を出す」ということに美学を感じる価値観がありました。
以前住んでいたバンコクの古本屋でたまたま面白い本を見つけました。昔の日本のある大商社の社史でしたがその本には「社員は仕事に打ち込んで自己宣伝をしてはならない。自己宣伝などせずとも、周りの人がちゃんと見ているから」という偉い人の訓示が書かれていました。昔の日本人は立派だったのだなと再確認した覚えがあります。
それが現代の日本はどうでしょうか。どうも自分自身を過大評価したり、とにかく自分を売り出していったりと、「謙譲の美徳」はどこへやらという感じです。とにかく「自分はすごい人間だ」と周りにアピールして、少しでも自分の利益にしようとする。そういったタイプの、ある意味「浅ましい」と感じられる人が、特にビジネスの場ではかなり増えているのではないでしょうか。これは良い悪いというより、時代の変化、人々の意識状態が変化していると捉えるしかないのかもしれません。
そして、アピールを聞いている側として、私が一番嫌だと感じるのが、そういった自己アピールの中に**「自画自賛」が多く含まれている時です。自画自賛とは、「自分のした行為を自分で褒めること」**ですね。語源的には、自分で書いた絵に自分で賛辞を書くことから来ている、皮肉のこもった言葉です。
ビジネスにおいて、「自分はこんなにすごいんだ、偉いんだ」と自分でアピールする時には、この自画自賛がかなり多く含まれることがあります。それを聞いていると、正直「きついな」と思ってしまうのです。
「一生懸命やっているのは分かっているし、能力があって苦労しているのも分かっているのだから、わざわざ他人に向かって吹聴する必要はないのに」と言ってあげたい気持ちにもなります。しかし、残念ながら、今の日本の会社においては、黙ってコツコツ仕事をするだけではダメなのですね。周りの人、特に自分を評価してくれる上司や経営者に分かるように、アピールもしていかなければならないのが現実です。
いやはや、なかなか面倒くさいというか、日本のビジネスの世界は非常に生きにくいところになってきているな、という気がいたします。