サラリーマンを描いた映画やドラマは意外と少ない

2025年8月17日日曜日

サラリーマン

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 こんにちは。今回は文化的なお話をさせていただきます。

テーマとして取り上げるのは、「サラリーマンを描いた映画やドラマは意外と少ない」という私の気づきです。皆様は普段、どのようなジャンルの映画やドラマをご覧になりますか?ミステリー、サスペンス、恋愛、アクション、SFなど、本当に多種多様なジャンルがありますが、ふと、私は思ったのです。サラリーマンが主役で、働くことをテーマにした作品は意外と少ないのではないかと。

私は日本語教師として、外国人の方々に日本のビジネスマナーや企業文化を教えております。そのため、いわゆるサラリーマンを描いた作品は、できるだけ見るように心がけているのですが、思い返してみると、その数がそれほど多くないことに気づきます。

もちろん、有名な作品はいくつか存在します。

  • **『釣りバカ日誌』**という映画をご存知でしょうか?建設会社に勤める、仕事よりも釣りが好きなサラリーマンが主人公で、日本の古き良きサラリーマン像が描かれた、ほのぼのとする映画でしたね。
  • 1965年の映画**『日本一のゴマすり男』**も挙げられます。植木等さん主演のこの作品は、日本の企業社会を風刺したコメディです。今では古典の域にありますが、日本の企業社会や企業文化を理解する上で欠かせない一本だと私は思います。この映画は、仕事ができるだけでなく、人間関係や人望がいかに大切かを教えてくれます。
  • 私が好きなテレビドラマには**『不毛地帯』があります。これは第二次世界大戦終結後、シベリア抑留から帰国した男が総合商社で大活躍する物語です。骨太で、サラリーマン社会のダイナミズムが描かれています。原作は山崎豊子さんの小説で、ドラマ化は2度されており、私が観たのは唐沢寿明さんが主人公を演じた2度目の作品でした。現実のサラリーマン社会はあんなに格好良くはないかもしれませんが、この作品には「日本の男の理想像」のようなものが投影されていた**と感じます。主人公が総合商社で働く理由は、戦争中に大本営の参謀だった過去を持ち、二度と日本を戦争に巻き込まないために石油が必要だという、壮大な志を持って石油開発に挑むというものでした。

これらの例はありますが、全体的に見ると、サラリーマンが中心テーマの作品はやはり少ないように感じるのです。

実際にサラリーマンを経験すると分かるのですが、その世界は意外とドラマチックです。一見退屈に見えても、その内実には権謀術数、欲望、競争、挫折、成功など、かなり人間臭い世界が広がっています。それなのに、多くのドラマや映画のメインテーマはミステリーや恋愛、アクションなどが多いですよね。

なぜでしょうか?私の仮説としては、サラリーマンの世界は日常生活で十分に経験しているため、わざわざ余暇を使ってまで見たくないという心理があるのではないかと考えています。人々は、現実離れした物語で日常の鬱屈を忘れたいと願っているのかもしれません。

この点から見えてくるのは、「社会をどのように批判的に描くか」という表現論です。正面から描くのか、それとも別の題材に置き換えて間接的に描くのか。例えば、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』は全体主義を批判していますが、舞台は空想上のディストピアです。また、『動物農場』では動物たちの物語に置き換えて旧ソ連を風刺していますね。

私は、具体的な事象をモチーフにして、日本の企業社会をストレートに語っていきたいと考えています。どれほどテクノロジーが進歩しても、人間の愚かさや業の深さというものは変わりません。人間が人間である限り、愚行は繰り返されるものです。そして、そうした人間臭い部分にこそ、サラリーマン社会、あるいはサラリーマンの根性、その本質のようなものがあるのではないでしょうか。だからこそ、もっと多くの作品がこの世界を描いても良いと、私は強く思っております。

今回は、そのようなお話をさせていただきました。 それでは、また。


Preplyでビジネス日本語を教えています。日系企業で働いてみたい方、日本語の更なるスキルアップを目指す方など大歓迎です。お気軽にお問い合わせ下さい。

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