ウォーターフォール型開発とは?
ウォーターフォール型開発は、滝が一方向に流れるように進める手法です。開発工程は次の5段階に分かれています。
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要件定義:何を作るのか、必要な機能を最初にすべて決めます。
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設計:決定した要件をもとに詳細な設計図を作成します。
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実装(製造):設計図に沿ってコードを書き、システムを構築します。
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テスト:完成品が正しく動くかを検証します。
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納品・運用:顧客に引き渡し、運用を開始します。
特徴は「基本的に前の工程に戻らない」ことです。つまり、最初に決めた設計通りに最後まで作り切る流れです。自動車工場のライン作業や家づくりをイメージすると分かりやすいでしょう。
この手法は 計画性と品質を重視する“製造業型” とも言えます。
アジャイル型開発とは?
一方のアジャイル型開発は、**「作りながら考える」**アプローチです。短いスパンで動くものを作り、改善を繰り返します。
特徴を挙げると:
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小さな単位で開発し、1〜4週間程度で成果物を作る
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すぐに顧客に見せてフィードバックをもらう
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要望や市場の変化に合わせて仕様を柔軟に変更できる
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早い段階から顧客が動くシステムを体験できる
家づくりに例えるなら、まず1部屋だけ作って見てもらい、フィードバックを受けながら他の部屋を設計していくイメージです。
メリットは、変化に対応しやすいこと、顧客とのイメージ共有がしやすいこと、失敗リスクを分散できることです。ただし、計画が曖昧になりやすい、スケジュール管理が難しい、チームと顧客双方に高いコミュニケーション力が必要という課題もあります。
この手法は スピードと柔軟性を重視する“サービス業型” と言えるでしょう。
日系IT企業が抱える課題
では、なぜ日系IT企業はアジャイル型に完全移行できないのでしょうか。理由はいくつかあります。
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契約文化:官公庁や大企業では、最初に仕様をすべて決めて契約するのが慣例です。途中変更を想定していません。
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未完成を見せることへの抵抗:バグや未完成の状態を「恥」と感じ、顧客に途中段階を見せたがらない文化があります。
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硬直した組織構造:階層型組織で意思決定が遅く、スピーディーなアジャイル型とは相性が悪いのです。
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人材育成の遅れ:トップダウン型の人材育成が中心で、チーム全員が主体的に動くアジャイル文化が育ちにくいのです。
日系ITの未来に必要なもの
ウォーターフォール型とアジャイル型、どちらかが「正解」というわけではありません。
しかし、国際競争を考えると、アジャイルのスピードと柔軟性を取り入れなければ、日系ITは取り残されるリスクがあります。
理想は、
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ウォーターフォール型の品質重視
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アジャイル型のスピードと柔軟性
この両立です。製造業マインドを活かしつつ、変化に強い組織をつくることができれば、日系ITが再び国際市場で存在感を示すことは十分可能です。
まとめ
今回は、ウォーターフォール型とアジャイル型の違い、そして日系ITの課題について整理しました。
これからの日本のIT業界にとって大切なのは、「過去の強みを活かしながら未来に合わせて変わること」だと思います。
あなたは、どちらの開発スタイルが日本に合うと感じますか?