会社で働いている方の中には、KPI、ノルマ、月次報告、予実分析――その言葉を聞くだけでうんざりする人も多いのではないでしょうか。
しかし、私はここであえて強く言いたいのです。
KPIを追いかける人生は、とても危険です。
なぜなら、数字に勝って人生に負ける人があまりにも多いからです。
KPIは「社員を管理するための道具」である
KPIや数値管理というのは、本来、社員を支援するための仕組みではありません。
それはむしろ、社員を管理するための道具です。
特に古い日系企業では、「予実乖離分析」という名の儀式がいまだに続いています。
予算と実績の差を細かく責め立て、「なぜ達成できなかったのか」と吊し上げる――。
それは改善でも反省でもなく、責任のなすりつけ合いに終わることが多いのです。
そんな会議から、未来も想像力も生まれるはずがありません。
優秀な人ほど失っていく「生きる力」
特に危険なのは、真面目で優秀なサラリーマンです。
彼らは毎月きっちりKPIを達成し、上司の期待に応え、「できる社員」として信頼を積み重ねていきます。
しかし、そんな人ほど気づかないうちに、
自分の人生を生きる力を失ってしまうのです。
数字を達成することが目的化し、
「自分は本当は何をしたいのか」が分からなくなる。
KPIを満たしても心は空っぽ。
そんな働き方を、果たして“幸せ”と呼べるでしょうか。
「現実的な目標」は心を動かさない
私ははっきり言います。
現実的な目標なんて、意味がない。
大切なのは、その目標を目の前にしてワクワクするかどうかです。
「バカみたいだ」「夢物語だ」と笑われるような目標で構いません。
人間は、そうしたワクワクする夢にこそ本気になれるものです。
リーダーが掲げるべき「真の目標」
経営者の方々にこそ、伝えたいことがあります。
会社として目標を掲げるなら、それは社員がワクワクできる夢でなければなりません。
数字や利益のためだけの目標では、人は動きません。
その夢の実現が、社員一人ひとりの幸せと重なっていること。
そこにこそ、本当の企業理念が生まれます。
社員が「その夢を一緒に実現したい」と思える会社は、強い。
社長が細かく管理しなくても、人は自然に動き始めます。
なぜなら、リーダーがワクワクするような目標を掲げているからです。
それこそが、真のマネジメントなのです。
夢の大きさにも「ちょうど良い塩梅」がある
もちろん、夢の大きさにもバランスがあります。
あまりに大きすぎると、社員は「そんなの無理だ」と冷めてしまう。
逆に、小さすぎると「うちの社長は夢が小さい」と見限られてしまう。
理想的なのは、
数年以内に努力すれば自分たちでも届きそうな目標。
現実と理想のちょうど中間にある夢こそが、人を動かします。
数字よりも「心が前へ出る瞬間」を
KPIに追われて、ワクワクを忘れていませんか。
数字の奴隷になるのではなく、心が前へ出る瞬間を目標にしてほしいのです。
会社でも、個人でも、本当に大切なのは“管理”ではなく“熱量”です。
現実的な目標ではなく、あなた自身が本気でワクワクできる夢を掲げてみましょう。
数字は後からついてきます。
それでは、また次回。