今日は、
なぜ日本円の価値が下がり続けているのか(円安)
そして、
なぜアジアの中でタイのバーツが比較的強いのか
というテーマについて、整理してお話ししてみたいと思います。
このブログを読んでいる方の中には、日本に住む外国人の方、日本語を勉強している海外の方、あるいはアジアでの生活やビジネスに関心を持っている方も多いと思います。
私自身、過去にタイ・ベトナム・ラオスといった東南アジアで生活し、働いた経験があります。当時は「円高」の時代で、日本人であること自体が経済的な強みになる場面も多くありました。
ところが今は、状況がまったく逆です。
円安が長く続き、「なぜここまで円が弱くなったのか」と疑問を持つ人も多いでしょう。
今回は、できるだけ専門用語を使わず、構造として何が起きているのかを中心に解説していきます。
円安が続く最大の理由は「金利差」
円安が続いている最大の理由は、非常にシンプルです。
それは、日本と世界の金利差です。
現在、アメリカやヨーロッパ、アジアの多くの国では金利が上がっています。一方、日本は長い間、ほぼゼロに近い金利を維持しています。
ここで重要なのは、
金利の高い通貨は「持っているだけで増えやすい」
という点です。
投資家の立場から見れば、
・金利が高い通貨
・経済が成長している国の通貨
は魅力的です。
その結果、
円を売って、ドルや他の高金利通貨を買う
という動きが続き、円安が進んでいます。
なぜ日本は金利を上げられないのか
「では、日本も金利を上げればいいのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、日本は簡単に金利を上げられる状況にありません。
最大の理由は、日本政府の借金の多さです。
日本は国債の発行額が非常に大きく、金利を上げると、その利払い負担が一気に増えてしまいます。
また、長年続いたデフレと低成長の影響で、
・企業
・家計
の体力も決して強くありません。
急激に金利を上げれば、
景気が冷え込み、企業倒産や失業が増えるリスクもあります。
こうした事情から、日本は「金利を上げにくい国」になっており、それが円安を構造的に固定化しているのです。
円安を後押しする、日本人と日本企業の行動変化
円安の背景には、もう一つ見逃せない変化があります。
それは、日本企業と日本人の行動そのものが変わったという点です。
① 企業の海外シフト
多くの日本企業は、すでに海外に工場や拠点を持ち、海外で利益を上げています。
その結果、海外で稼いだお金を、以前ほど日本円に戻さなくなりました。
これは、円を買う需要が減っている、ということを意味します。
② 個人の海外投資の増加
若い世代を中心に、
・米国株
・海外ETF
などへの投資が増えています。
これは、円を売って外貨を買う行動です。
この流れが長期的に積み重なることで、円安の圧力は強まっていきます。
タイバーツが強い背景にある3つの要因
一方で、タイのバーツはアジアの中でも比較的安定した通貨として評価されています。
その背景には、次の3つの要因があります。
① 観光による安定した外貨流入
タイは世界有数の観光大国です。
観光客が訪れるたびに、ドルやユーロなどの外貨が国内に流入します。
これは、通貨にとって非常に強い支えになります。
② 東南アジアの製造拠点としての地位
タイは、自動車や電機などの製造業において、東南アジアの中心的な役割を担っています。
そのため、外国企業からの投資も多く、外貨が継続的に入ってきます。
③ 財政と金融政策への信頼
タイの中央銀行は、物価や金利を比較的安定してコントロールしています。
この「政策の読みやすさ」が、海外投資家からの信頼につながっています。
バーツは、単なる新興国通貨ではなく、
外貨が入り、政策が信頼される国の通貨
へと変化してきたと言えるでしょう。
円安・バーツ高の流れは今後どうなるのか
結論から言えば、
このトレンドはすぐには変わらない
と考えるのが現実的です。
日本は、
・金利が上げにくい
・人口が減少している
・企業も個人も海外志向が強い
つまり、円を使う量そのものが減っています。
一方のタイは、
・観光
・製造業
・海外投資
と、外貨の入り口が多く、中間層も拡大しています。
このため、少なくとも今後数年は、
円は弱く、バーツは底堅い
という状態が続く可能性が高いでしょう。
もちろん、短期的には為替は上下しますが、長期的にはアジア経済の構造変化が通貨に反映されていると見ることができます。
円安をどう受け止めるべきか
円安には、良い面と悪い面の両方があります。
日本に住む外国人や、日本を訪れる旅行者にとっては、円安は生活費や旅行費用が安くなるメリットがあります。
一方で、日本からタイへ旅行する人にとっては、以前より割高に感じるでしょう。
私自身も、最近タイを訪れた際に、バーツ高を強く実感しました。
大切なのは、
円安・バーツ高を感情的に嘆くことではなく、
なぜそうなっているのかを理解し、冷静に現実を受け止めることです。
通貨は、その国の経済構造と人々の行動を正直に映す鏡です。
今回の話が、皆さんの生活やビジネス、判断のヒントになれば幸いです。
それでは、また。