何度も転職をしましたが、面接を受ける機会が増えるにつれ、また、経験値が上がっていくにつれて、面接官からの質問にどのように答えたらいいのかについても分かるようになりました。
面接の場において面接官から聞かれることは大体以下のような項目でしょうか。
l 自己紹介
l 自己PR
l 自分の長所と短所
l 志望動機
この中でも志望動機についてどのような回答を用意するべきかについて悩むことはあると思います。
面接での志望動機とはすなわち、「その会社になぜ入社したいのか?」ということです。企業に就職した後に、「どんな仕事をしたいのか」とか、「どういう業界で働きたいのか」と言った事柄が自分の中ではっきりとしている人なら、志望動機は割と簡単に答えられるでしょう。
しかし、ここで問題にしたいのは、あまり会社で働くことに興味が無い人達です。求人情報誌を眺めても、どの求人にも全く興味が湧かない人もいると思います。
かくいう私も会社での仕事に興味が湧きません。この世の中に存在するありとあらゆる仕事に対して微塵の興味も湧かないのです。
「そうは言っても、何か一つくらい興味のあることや、好きなことはあるだろう」と思う人もいるかもしれませんが、残念ながら、私の場合、会社員として行なう仕事について、どの仕事にも積極的に就こうという気が起こらなかったです。
こういう気持ちを表明することは日本の社会においてはあまり良くないことだとされています。なぜなら、社会人になってからは仕事に対して興味を持つことは当然だとされているからです。
また、日本人の多くが、「誰でも得意なことがあり、好きなことがある。それを仕事にすれば良い」という考え方を自明の事として捉えている傾向があります。
日本だけに限定された話ではないですが、人間が持って生まれた能力には個人差があり、また、運、不運についても、人間は平等に配分されているわけではありません。
それにも関わらず、日本においては「就職活動において全ての求職者が平等な前提条件のもとで競争をおこなっている」ということが人々によって信じられています。
人間の能力に個人差があるように、各個人の人間の興味の範囲や、その深さについても個人差があります。仕事に全然興味が無い人もいるのです。
仕事に興味があってもなくても、建前としては「会社で働くなら仕事に興味があるのは当たり前」の社会だから、仕事に興味のあるフリをしなくてはならないのです。
志望動機の作成については、この「仕事への興味」ということが一つのヒントになってきます。
なぜなら、仕事をしないで生活している分には他人やこの世界について一切の興味を持たないで、家に引き篭もって生活することも可能ですが、外に出て会社勤めをする場合、そして、金を稼ぐ場合には、外界に興味を持つことが出発点になるからです。
ビジネスにおいて、本来、自分の人生とは無関係な上司だとか、社長、そして、顧客の話などに、「いかにも興味を持っているようなフリ」をしながら耳を傾けなければいけないのも、煎じつめれば、「金を稼ぐため」であります。
他人や外界に興味を持つのはビジネスの基本なのです。
そのように考えてくると、志望動機の作成にあたり、読者の方々へアドバイスできるのは、外界に対して社会的な視点を持つように努力してみるということです。
昨今の現代の世界におきましては、世界中にグローバル化が浸透していて、それに伴い、従来の共同体が崩壊し、人々の個人主義化が勢いを増しているように見えます。他人がどんなに苦しんでいても、自分さえ良ければそれで良いという利己的な人間が増殖しているようです。
自分の生活範囲の半径500メートルぐらいでしょうか、その程度で起こる事柄にしか興味を持たず、それ以上の広い世界の話になると途端に関心をなくして、一切の意識をそちらには向けないという人もいると思います。
その発想ですと、会社でビジネスをしていく際にはちょっと心許無いです。社会的な視点を持ちながらニュースを眺めて、それについて考えるようにし、そういう思考習慣を持ちつつ、改めて志望動機について作成をこころみれば、その出来栄えは大分良くなっていることでしょう。
とはいえ、そうやって社会的な視点を持って、出来るだけ世の中の森羅万象について理解をしよう、勉強しようと努力していても、それでもやはり、世の中のことには興味がない、どうしても興味が湧かないという人もいるのではないでしょうか。
これは致し方ないことであります。どこかの商店において、「興味」というアイテムが販売されていて、あたかもサプリメントを摂取するかのように、興味を外部から体内に注入できれば良いのですが、残念ながらそういうサプリメントはありません。
世の中にも興味がなく、仕事にも興味がない、でも働かねばならないと言うことを自覚していた場合、それはもう会社員になることは諦めて、フリーランスの道に進むのもアリだろうと私は思います。
会社で興味のない仕事を延々と続けるのは意外と苦痛なものです。お金のためということで割り切れる人はいいですが、そう言う人ばかりではないはずです。有限である人生の時間を有効に使うためにも、「世の中に存在するサラリーマンの仕事がどれもつまらなそう」と思うのなら、我慢する必要はないのです。