仕事を依頼する側にとって安心できる「ホウレンソウ」というシステム

2025年4月3日木曜日

日系企業の文化

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本日は、日本の企業社会において非常に重要視されている「ホウレンソウ」、すなわち報告・連絡・相談が、仕事を依頼する側にとって、いかに安心できるシステムであるかというお話をさせていただきます。

日本においては、多くの方が企業に入社後、早い段階からこのホウレンソウの重要性を徹底的に教え込まれます。 ホウレンソウを理解していないと、日本のビジネスパーソン、サラリーマンと円滑に仕事を進めることは難しいとさえ私は感じています。 若いうちから叩き込まれるこのホウレンソウですが、中堅社員となり海外に駐在するような立場になると、その認識の違いに戸惑うこともあるようです。 現地の方々にはホウレンソウという概念が全くない場合もあり、「なぜホウレンソウができないのか」といった不満を漏らす駐在員もいるようですが、これは少し見当違いかもしれません。 世界的に見ると、日本ほど細かくホウレンソウを行う国は少ないのではないでしょうか。 各国にはそれぞれの仕事の進め方があるのです。 日本の基準を海外に持ち込み、自分の尺度で判断してしまうのは注意が必要ですね。

しかしながら、このホウレンソウというシステムは、誰かに仕事を依頼するという場面においては、非常に便利で安心できるものだと私は強く感じています。 なぜなら、仕事を依頼した側は、その仕事が無事に完成するまで、常に「大丈夫かな?」という不安を抱えているものだからです。

例えば、私が誰かに1週間後に完成してほしい仕事を依頼したとしましょう。 日本の多くの企業では、期日までの間に、依頼された側から中間報告として「現在、ここまで進んでいます」という報告が上がってくることがあります。 これを聞くと、依頼した側としては「なるほど、順調に進んでいるようだ。期日までに間に合いそうだな」と安心することができます。

また、仕事を進める中で困ったことや分からないことが出てきた場合、依頼された側から相談を持ちかけてくれることもあります。 「この部分で困っていますが、どうすれば良いでしょうか?」といった相談を受けることで、もしホウレンソウがなければ一人で突っ走ってしまい、期日になって蓋を開けてみたら全く違うものが出来上がっていた、あるいは仕事が終わっていなかったという事態を防ぐことができるのです。 依頼した側とされた側の認識のずれを早期に修正できるのが、ホウレンソウの大きなメリットと言えるでしょう。

もちろん、一番安心するのは仕事を依頼する側だと思います。 日本人は真面目な人が多く、「自分でやった方が確実だ」と考え、人に仕事を依頼することをためらう人もいるかもしれません。 しかし、会社の仕事は分担せざるを得ない場面が多く、誰かに依頼せざるを得ない状況があります。 そうした「依頼するのは心配だ」という不安を軽減するために、ホウレンソウは徹底されるのです。 日本の企業社会ではホウレンソウが当たり前になっているため、依頼された側も特に抵抗なく、きちんと報告・連絡・相談を行ってくれます。 これは、日本の企業、特に日本国内の日系企業においては、非常にスムーズな仕事の進め方として確立されています。

ただし、ホウレンソウが行き過ぎると、依頼された側が「信頼されていないのではないか」「しつこい」と感じたり、反発心を抱いたりする可能性もあります。 例えば、3日後の期日の仕事に対し、2、3時間おきに進捗状況を確認すると、相手に不快感を与えるかもしれません。 しかし、確認を怠ると、依頼された側がそれほど急いでいなかったり、優先順位を下げていたりして、期日直前になって仕事が終わっていないという事態も起こりえます。 これは、コミュニケーションの難しさでもありますが、ホウレンソウがないために、依頼する側が不安から過度に確認してしまうという側面もあるでしょう。

日本においては、報告・連絡・相談というコミュニケーションシステムが、入社後徹底的に叩き込まれているため、円滑に仕事が進むことが多いのは事実です。 しかし、ホウレンソウが行き過ぎると、責任の所在が曖昧になったり、本質的な検討をせずに表面的な報告だけで済ませてしまうといった弊害も起こりえます。 その結果、会社の仕事からダイナミズムが失われ、ある種の完了主義に陥る可能性も否定できません。

まとめますと、ホウレンソウは仕事を依頼する側にとって、進捗状況の把握や問題点の早期発見を可能にし、安心感をもたらす非常に有効なシステムであると言えます。 しかし、その運用には、相手への配慮や状況に応じた柔軟性も求められるということを理解しておく必要があるでしょう。

本日は、ホウレンソウが仕事を依頼する側にとって安心できるシステムであるというお話をさせていただきました。最後までお聴きいただき、ありがとうございました。


Preplyでビジネス日本語を教えています。日系企業で働いてみたい方、日本語の更なるスキルアップを目指す方など大歓迎です。お気軽にお問い合わせ下さい。

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