今日のテーマは、学生時代にアルバイトをした銀座の洋食屋の思い出についてお話しさせていただきます。
いまからもう20数年前のことになります。当時、私は都内の大学生で、一人暮らしをしておりました。大学にはあまり行かず、好きな本を読んだり、映画を観たりと、自分の好きなことばかりをして過ごしておりました。
とはいえ、遊ぶためにはお金が必要ですから、アルバイトを探す必要がありました。いくつかアルバイトを経験しましたが、なかなか長続きせず、唯一長く続いたのは、以前このポッドキャストでもお話しした、某ファストフード店での深夜清掃のアルバイトでした。それは、人と全く関わらず、一人で作業できたからだと思います。
そんな中、銀座にあった洋食屋さんでアルバイトをすることになったんです。場所は有楽町の近くだったかと思います。アーケードのような場所にあったお店でした。メニューはハンバーグやカレーライスなど、洋食の定番といった感じでしたね。
そこで私はコックのアルバイトをしたんです。お客様と直接接するホールやウェイターの仕事よりも、厨房で作業に集中できると考えたからです。コックという仕事に、職人的な憧れもあったのかもしれません。
しかし、実際に働いてみると、全くコミュニケーションが必要ないわけではありませんでした。厨房内での連携は不可欠だったんですね。幸いなことに、当時の料理長は、私と馬が合ったのか、人間関係的にはとても楽に働くことができました。
その料理長は、普段は話しやすいのですが、仕事になると厳しく、大きな声で部下を叱責することもありました。今ならパワハラと感じる人もいるかもしれませんね。私自身も厳しく指導されましたが、人間的に嫌われていたわけではなかったようで、なんとか続けることができました。
週に5日、夕方6時から夜11時頃まで、アルバイトに時間を費やしていました。実際に働いてみて初めて気づいたのは、自分には料理の才能があまりないということでした。特にサラダは、見た目がどうも美味しそうにならないんです。盛り付けの難しさを痛感しました。
また、コックの仕事は時間に追われるものでした。忙しい時間帯には、早く作れと常に急かされ、料理が好きでも、仕事としてスピードを求められると嫌になる人もいるかもしれないと感じました。プロの料理人というのは、早く作ることも苦にならず、料理への探求心も失わない、そういう人なんだろうなと思いました。
アルバイトが終わると、お店の美味しい洋食を食べさせてもらうことができました。賄いが出るのは、飲食系のアルバイトの良い点ですよね。
さて、その料理長ですが、ある時、給料明細を見せてきたんです。月給で50万円近くあったと記憶しています。なぜ私に見せてきたのかは今でもよく分からないのですが、大学生の私が、料理人の給料は安いと思っているのではないかと心配したのかもしれません。あるいは、ただ単に自慢したかっただけかもしれませんね。
このアルバイト経験を通して、色々なことを学びました。特に、アルバイトで少し手応えを感じたとしても、それをすぐに将来の仕事と決めつけてしまうのはもったいないかもしれないということです。若い時には色々な仕事に挑戦して、自分の適性を見極めることが大切だと感じました。
銀座の洋食屋さんでのアルバイトは、大変なこともありましたが、今となっては良い思い出です。当時の料理長や同僚には、感謝しかありません。この経験が、今の私にとって何らかの糧になっているのは間違いありません。