変わりゆく長幼の序:失われる伝統と経験の価値

2025年4月19日土曜日

日本文化

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日本の社会における長幼の序

日本の社会では、伝統的に「長幼の序」というものが重んじられてきました。長幼の序とは、年長者と年少者の間で守るべき社会的な道徳的な秩序のことでございます。平たく申し上げますと、年齢が下の人(年少者)は、年上の人(年長者)を敬い、年上の人が言うことを守るべきであるという考え方です。

この長幼の序が厳しく指導される場としては、例えば学校の部活動などが挙げられます。部活動では、先輩後輩の上下関係が非常に厳しく、先輩が後輩に対して指導する場合、たとえ先輩が間違ったことを言っていたとしても、後輩はそれを否定したり反論したりすることは難しいとされていました。まさに「先輩が黒と言ったら黒」というような、ある意味では理不尽な環境も存在していたようです。体育会系の部活動の世界では、先輩の言うことにひたすら従い、先輩のしごきに耐えるといったことが行われていたこともございます。

これは、古くからある長幼の序を基本とした、日本における先輩後輩の人間関係と言えるでしょう。

現代日本における長幼の序の変容

しかしながら、昨今の日本におきましては、グローバル化の影響もあってか、この長幼の序というものがだんだんと崩れてきているように感じられます。例えば会社の中では、状況によっては年下の部下が年上の上司に指示を出すといった場面も出てきております。厳密に長幼の序が日本社会で規定されるのであれば、年下の部下は年上の部下にかなり気を遣う必要が出てくるはずですが、そうした状況も変わりつつあるようです。長幼の序をあまり意識せず、年上の部下に対して接する方も出てきているとのことです。

もちろん、表面上は年上を敬っているように見えても、実際にはあまり意識せず、仕事ができれば良い、成果が上がれば良いという、いわゆる実力主義や成果主義が日本の会社でも採用されることが増えてきた背景があるのでしょう。仕事で高い成果を上げられる若い人が、「自分は仕事ができるのだから、別に年上に敬意を払う必要はない」といった考えを持つようになるのも、ある意味自然な流れかもしれません。

バランスの重要性

私自身は、物事はバランスが大切だと考えております。長幼の序があまりにも厳しすぎると、かつての日本のように年功序列制度のような非合理的なシステムを生み出してしまい、社会のダイナミズムを失わせる可能性もございます。高度経済成長期には年功序列制度が機能しましたが、低成長の現代においては、その制度が合わなくなってきている部分もあるでしょう。

長幼の序が失われ、完全に平等な競争社会になることは、それはそれで構わないと思いますが、一方で、若いリーダーやマネージャーが年上の部下の意見を素直に聞く姿勢は重要だと感じます。長幼の序が無くなったとしても、「自分はマネージャーだから仕事が分かっている」と意固地にならず、経験豊富な年上の部下の意見に耳を傾けることで、若いリーダーはさらに成長できるのではないでしょうか。

経験の価値

亀の甲より年の功」という言葉もあるように、年齢を重ねることで得られる経験は、ビジネスの世界においても非常に価値のあるものです。もちろん、長くやれば良いというわけではありませんが、経験が多いほど多くの修羅場を乗り越えてきた可能性があり、年長者のアドバイスは一度は聞いてみるべき場合が多いと思います。経験を通してしか分からないことは、特にビジネスの世界には多く存在するのです。

成功談は世間に広まりやすいですが、失敗談の中にも大切な教訓やエッセンスが含まれているものです。年長者の言葉には、時には昔ながらの考え方も含まれるかもしれませんが、耳を傾けてみることで、新たな発見や学びがあるかもしれません。

素直さを持つこと

年齢に関わらず、素直でない人や人の話を聞かない人はいますが、せっかく若いのに人の話を聞かないというのは、非常にもったいないことだと私は思います。

まとめ

長幼の序は時代とともに変化していますが、年長者の経験や知識に敬意を払い、謙虚に学ぶ姿勢は、いつの時代も大切なのではないでしょうか。年齢に関わらず、お互いを尊重し、それぞれの経験や能力を生かしながら協力していくことが、これからの社会において重要になると感じております。


Preplyでビジネス日本語を教えています。日系企業で働いてみたい方、日本語の更なるスキルアップを目指す方など大歓迎です。お気軽にお問い合わせ下さい。

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