こんにちは。今回は、これまでのキャリアで外回りの営業をされていた方が、転職などをきっかけに会社の屋内で働く、いわゆる「内勤」の仕事に就かれた際に、どのような心構えで臨めば良いかについてお話ししたいと思います。
私自身の話を少しさせていただきますと、学校を卒業してから日本でほとんどずっと外回りの営業をしていました。たまに短期の事務アルバイトを経験したこともありましたが、基本的には外に出ていることが多かったのです。
それが、30歳を過ぎた頃、タイに移住し、現地でサラリーマンとして働くことになりました。最初に勤めたのは、アユタヤにある精密プレス部品工場の営業職でした。ここで初めて法人営業を経験したのですが、日本の外回り営業とは随分違いました。
外回りとは違う、工場勤務での戸惑い
その工場での営業職は、いわゆるバンバン外回りをしてお客様と会うような営業ではありませんでした。ほとんど一日中、工場の中にいなければならない環境だったのです。朝出勤して朝礼があり、その後は工場内の現場を見たり、見積もりを作成したりと、色々な仕事はありましたが、ずっと屋内にいる必要がありました。
特に大変だったのは、お昼のランチタイムでした。当時は引っ込み思案な性格もあって、日本人社員が3名しかいない職場で、周りがほとんどタイ人という環境の中、みんなと一緒に食事をするのが億劫になってしまったのです。会社の近くにあった水上マーケットに隣接する安価なレストランで、一人で食事を済ませることもありました。
一日中、誰か周りに人がいるという状況が、当時の私には結構辛かったのです。日本の営業をしていた頃は、朝会社を出てしまえば、おそらく6時間以上はずっと外にいましたし、お昼も一人で食べたり、気の合う同僚と食べたりと、基本的に自由がありましたから。タイの工場で働き始めて、「自由じゃない」と感じてしまったのです。
周囲の目が気になるけれど…
また、周りの人が自分のことを見ているのではないか、とすごく感じることもありました。これは私と同じように感じる方もいるのではないでしょうか。会社や工場の中で働いていると、「周りの人に監視されているのではないか」と考えてしまうことがあります。
これについて言えることは、まず、周りはあなたが思っているほど、あなたのことを見ていないということです。そこまで気にしなくて大丈夫ですよ、という側面があります。
ただ、一方で「見ていないようで、実は見ている」という側面もあるのです。どちらなんだ、と思われるかもしれませんが、気になる人は気にしすぎなくても大丈夫、ということをお伝えしたいです。
環境に慣れることが大切
工場やオフィスのように、ずっと同じ場所にいなければならない環境で働く場合、やはりその環境に慣れるということが大切です。簡単に言えば、ある種「サボれない環境」です。気を抜くわけにもいきません。
気分転換をしようとしても、周りからは「あの人、手抜きしてるな」と思われてしまう可能性もあります。ですから、周りにはちゃんと真面目に仕事をしているように見せながら、実は少し息抜きをしているという、いわば「仕事をしているふり」がうまくできないと、まずいと感じました。
これは、オフィスワークや工場勤務が長い方であれば、きっと十分に理解していただけると思います。皆さん、やはりそういったことに慣れていらっしゃるのですよね。自分なりの仕事のペースを持っていて、集中する時は集中し、少し休む時は自分なりに工夫して休むことができる。自分自身の集中力の使い方をコントロールしながら働くことが必要になるわけです。
日本社会の複雑さ
こういった環境に適応する上で、もしかすると「他人の目を気にしない」ということが、会社員として働く上で最も大切なことなのかもしれないと思います。人目を全く気にしない、という人は心から羨ましいです。
ただ、日本の社会の場合、難しい点があります。他人の評価を気にしないこと、他人の目を気にしないことが大切だということは、みんな頭では理解しているはずです。しかし、その一方で、他人の言動や態度、振る舞いに対して、結構厳しい人がいるのです。自分の価値観や基準に照らし合わせて、「この人のこういうところは間違っている」と、他人に批判的になる人が日本人には結構いるのですね。
ですから、そういったこともあって、日本社会で暮らしていく上で、なかなか自分のマイペースを貫くのが難しいという側面があるのです。この日本社会の複雑さが、少しでも伝われば嬉しいです。
本日のエピソードは以上となります。会社という屋内の環境に慣れることは、外回りが長かった方にとっては一つの大きな変化かもしれません。しかし、環境に適応し、自分なりのペースを見つけることで、より快適に働くことができるはずです。