今日はですね、年を重ねてから若い人が中心の職場に転職する難しさについてお話ししたいと思います。特に日系企業ではよく見られる傾向かもしれませんね。
どうしても年齢を重ねて転職をすると、自分より若い人ばかりの会社に入ることになり、そこで居心地の悪さを感じることがあります。今日はその辺りのジレンマについて、私の経験も交えてお話しできればと思います。
ベトナムでの経験談
具体的な例を挙げた方が分かりやすいかと思いますので、私がかつてベトナムのホーチミン市で、ある老舗のフリーペーパーを発行する会社で広告営業をしていた時の話を少しお話しします。
その会社に入ったのは、私が36歳かそれくらいの時でした。会社の中心は20代の社員さんで、年齢が高い人は役職者ばかりという構成だったのです。私の直属の上司も、私よりずっと年下の女性でしたね。
会社全体の雰囲気は、若くて賑やかで、とにかくエネルギーがありました。それ自体は全く問題ないのですが、そういった会社に転職した時に、日本人としては違和感を覚えることがありました。
年齢の壁と実力主義
海外にいる日本人の若い人たちは、年齢に関係なく割とフランクに接してくるんですよ。これがまず、私の個人的な感覚からすると非常に違和感がありました。良く言えば、年齢の垣根を超えて平等にフランクに接してくれているとも評価できるのかもしれません。
特に海外にある会社の場合、日本のいわゆる年功序列のシステムがないことがあり、仕事で成果を上げれば年齢に関係なく評価されるという実力主義がなされていました。
しかし、実力主義とは言っても、やはり若い人が中心の会社に年長者が入っていくというのは、結構勇気がいることなんです。
転職先で直面する可能性
もし役職者としてではなく、平社員としてそういった会社に行った場合、場合によっては20代の人に顎でこき使われるなんてこともあるかもしれません。同僚が年上だからといって尊敬されることもありません。まずその覚悟が必要です。
同じように年を取っている人は数が少なく、そうすると年長の「おじさん」や「おばさん」は、そういった会社では片身の狭い思いをする可能性があるのです。
今後日本でも一般化する可能性
今お話ししたような状況は、今後日本でもどんどん一般化していくのではないかと感じます。転職が当たり前の社会になってきていますからね。
もちろん、雇用が流動化して転職しやすくなったとしても、日本企業で居心地良く長くサラリーマンを続けたいと思うなら、ずっと同じ会社に勤めていた方が良い、という側面もあります。同期との競争や出世の差で悔しい思いをすることはあるかもしれませんが、それでも同じ会社に居続けることには、すごく居心地の良い部分もあったりします。
それが、人間関係や上司が嫌だといった理由で一度会社を飛び出してしまうと、一気にジャングルに放り込まれるような感じになるのです。また一から人間関係を作り、その場所での居場所を確保していかないといけません。それが転職をするサラリーマンの人生だと思います。
転職先の会社の年齢構成や男女比などはデータで事前に分かるかもしれませんが、やはり社風は入ってみないと分かりませんよね。
経験から感じた疎外感
先ほどの私のベトナムでの具体例に戻りますと、36歳かそれくらいの時に若い人が中心の会社に入り、やはり年齢が離れている人たちの中での立ち振る舞いや、彼らとうまく馴染めないという正直な思いが強くありました。もっと言うと、何かこう、疎外されているな、という気持ちがあったのです。
仕事で結果を出さなければいけないと思っていましたが、肝心の仕事の方もうまくいかなかったということもありました。どういった会社を選ぶのか、入ってみないと分からないというのは難しいところです。
全てがそうではない
今お話ししたのは、若い人が中心で年配者が疎外感を感じてしまいがちな会社の一例でした。
ですが、例えば営業職などでは、もっと年齢に関係なく、本当に実力主義がうまくいっていて、年長者でもちゃんと結果を出せば会社での居心地がどんどん良くなっていくような会社もあります。老若男女の差を問わず、真の意味でフランクに人間関係を築ける会社も中にはあるのです。その辺りはちゃんと見極めていきたいところですね。
合わないと感じたら
もし入ってみて、正直この会社は居心地が悪いな、と思ったら、特に年配者の方の転職の場合ですが、転職できるのであれば、早めにそういった会社に見切りをつけるということも悪くはないと思います。
日本の社会とカルチャーギャップ
この辺りのお話は、日本の社会に限定した話でもありますが、一応日本の社会には文化的に建前上、年功序列や先輩後輩の序列というものが厳しくあります。同じ会社でずっと働いていれば、そういった社会システムの恩恵を受けられて、変なカルチャーショックを受けることなく続けられると思います。
それが、一度会社を離れて転職してしまうと、今度は別の会社のカルチャーに馴染む必要が出てきます。特に最近の日本企業では、そういった序列をなくして皆フランクに接していこうという風潮があり、それが度を越してしまうと、場合によっては礼儀礼節を著しく欠くような、10や20も年が離れた若い人と一緒に働いていかなければならない、ということもあり得るのです。
これは本当に、おそらく日本の「おじさん」や「おばさん」が、世界中のどこかで人知れず苦労している一例なんじゃないかな、と思います。