こんにちは。今回は、日本の企業、特に「日系企業」で働くということについて考えてみたいと思います。日系企業での働き方はよく大変だと言われますが、その経験にはどのような意味があるのでしょうか。
日本のビジネス文化は、おそらく世界的に見てもかなり特殊で、細かく、異質なものでしょう。また、日本人は自ら細かいルールを設定し、それを比較的厳格に守る人が多いように思います。これは、権力に対して従順で真面目な人が多いからかもしれません。
例えば、ビジネスシーンにおける「名刺交換」。これは単に名刺を交換すれば良いというものではなく、そこにはかなり厳格で、細かく、いわゆる「うるさい」ルールが存在するのです。日本のビジネスマナーに関する書籍を読むと、大体どこの本にも同じような細かいルールや手順が書かれており、それに従っていれば日系企業で働く上で困ることはないだろう、という側面があります。
逆に言えば、日系企業で働くのであれば、名刺交換一つとってもきちんとできるようになっておく必要があります。これができないと、上司や経営者から「いかんな」と評価されてしまう可能性もあるため、注意が必要なのです。
海外と比較してみると、この違いはより明確になります。例えば、筆者がよく滞在したタイでの小売店の経験では、店員さんが愛想がなかったり、最低限の仕事しかしないように見えたり、時には非常に無礼な態度を取る人もいたりしました。他の店員がいても全く助け合わず、マイペースで働いているような人も見かけました。
海外、特に小売業のような仕事では、求められるのはレジ打ちなど、ジョブディスクリプション(職務記述書)に記載されたことを淡々とこなすことだけで、それ以上に礼儀やマナーを厳しく問われることは少ないようです。
一方、日本では、どこかの組織に属して働く、という場合、お金を稼ぐことに対するハードルがかなり高く感じられます。自分で割り切っていても、日系企業で働く場合は、**周囲の社員や上司、経営者から、仕事に対する考え方やマインドを徹底的に「鍛えられる」**のです。
「仕事とはこういうものだ」「働いてお金をもらうならこれぐらいはやって当然だ」といったことを、言葉や態度で厳しく指導されることもあります。そういった環境で働くうちに、体や意識がだんだん慣れていき、元々は最低限のことだけやれば良いと考えていた人も、「お金をもらうならこれぐらいはしないと」「会社に貢献しよう」「お客様に対してこれぐらいはすべきだ」といったように、仕事や顧客に対する意識が変わっていくことがあります。
日系企業、特に昔ながらの体質や、いわゆるブラック企業のような体質のところは、確かに働くのが大変だと感じられるかもしれません。ずっとそこで働き続ける必要はないとしても、そのような厳しい環境で「鍛えられる」ということには、一つの価値があります。
そこで苦労し、経験を積むことで、海外や外資系企業など「外の世界」に出た時に、仕事が非常に楽に感じられる可能性が高いでしょう。また、日系企業で培った仕事の能力やお客様への向き合い方といった経験は、他の場所でも自然と生かされる場面が多く出てくると思います。
日系企業で働くことは決して楽なことばかりではありませんが、**自分自身の成長を強く望む人にとっては、非常に良い「鍛錬の場」**となる可能性があると言えるでしょう。