ビジネスの必要悪?「嘘とハッタリは違う」が自己欺瞞に繋がるワケ

2025年6月9日月曜日

ビジネス

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皆さん、こんにちは。今回は少し考えさせられる言葉について触れてみたいと思います。それは、「嘘とハッタリは違う」という言葉です。

もしかしたら、この言葉を聞いたことがある方、あるいは日頃から意識されている方もいらっしゃるかもしれませんね。特にビジネスの世界、中でも営業職の方にとっては、耳障りの良い言葉だと感じる方もいるのではないでしょうか。

「嘘」と「ハッタリ」の違いは何でしょう?

まず、「嘘」というのは、ご存じの通り真実ではないことですね。 一方、「ハッタリ」とは、誰かを威圧したり騙したりする目的で、大げさなことを言ったり、自分の実態以上に強気な態度をとったりすることを指します。例えば、ポーカーゲームで役がなくても勝つために使うブラフのようなものですね。

かつて私が勤めていた会社でも、社長が営業社員に対して「嘘を言ったらだめだが、ハッタリはいくらでもついていい」と朝礼の場で話していたことがありました。社員達は「なるほど、嘘とハッタリは違うんだな」と素直に聞いていたと思います。

なぜビジネスで「ハッタリ」が必要とされることがあるのでしょう?

仕事として、お客様に嘘をつくのはもちろんいけません。それは詐欺行為になってしまう可能性もあります。

しかし、お客様に興味を持ってもらい、話を聞いてもらう体勢を作るためには、ただ正直に話すだけでは聞く耳を持ってもらえないことがあります。そこで、お客様にとって非常に便利だと思わせるような商品の話をしたり、お客様の夢をかき立てるような話をしたりして、お客様を気分的に乗らせる必要があるんですね。その際に、口がうまかったり、プレゼンがうまかったりする営業マンは、同時にハッタリも上手かったりするのです。

ビジネスの世界では、営業職に限らず、自分の実力以上に自分を大きく見せようとハッタリをかます人は当たり前のようにいるものです。ハッタリが上手い人は組織の中で得をすることもある一方、真面目に仕事をして成果も出しているのに、ハッタリが下手なために正当に評価されず損をしてしまうビジネスマンもいるのが現実です。

損をするくらいなら得をした方が良い、だからビジネスをやるならハッタリも上手くならなければならない、と感じる人が増えているのかもしれません。真面目に物事に向き合うことが美徳とされないような、弱肉強食の世界になっていくのでは、という懸念が拭いきれません。

ビジネスにおいては、確かにハッタリが必要な場面もあることは、私も十分に理解しています。ハッタリは、いわば**避けられない「必要悪」**のようなものなのかもしれません。

「ハッタリ」が当たり前になると、「自己欺瞞」に繋がる?

しかし、この「ハッタリ」というものが当たり前になっていくことに、私は少し立ち止まって考えてみる必要があると感じています。なぜなら、それは**「自己欺瞞」**に繋がっていく可能性があるのではないか、と思うからです。

自己欺瞞とは、自分自身で自分の心を欺くことです。もう少し詳しく言うと、自分の道徳心や良心、価値観に照らして「これは違うな」「価値観に反しているな」と自分で分かっていることでも、それを自分自身に無理に正当化していくことを意味します。

自分の心を偽ることになるわけですから、短期的には問題なくても、長期的にビジネスを続けていく中で、このような自己欺瞞を繰り返していると、おそらく破綻をきたすか、少なくとも自分自身が非常に辛くなるのではないかと考えるのです。

もちろん、中にはどれだけハッタリをかましても、全く良心が痛まない、傷つかないという人もいるかもしれません。そういう人は、非常に強いメンタルを持っているか、あるいはそれがその人の性格の特徴なのかもしれません。そういう方については、それはそれで良いのかもしれません。

ですが、誰もが皆そうではありません。多くの人は、程度の差こそあれ、多少なりとも良心や、正しいこと・善いことを思考する道徳心を持っているのではないでしょうか。

そうした中で、「そんなものは関係ない」とばかりにハッタリを使い続け、それでも全く良心が痛まない、という状態になっていくことが、果たして正しいことなのだろうか、と疑問を感じてしまうのです。

鋼のようなメンタルを持ってビジネスに取り組むこと自体は構わないのかもしれませんが、個人的には、あまり美しいやり方ではないな、という気がしてなりません。

まとめ

今回は「嘘とハッタリは違う」という言葉を入り口に、ビジネスにおけるハッタリの必要性と、それが自己欺瞞に繋がる可能性、そして私たちの良心との関わりについて考えてみました。

ハッタリが必要な場面があることは認めつつも、それが当たり前になり、自分の心や良心に嘘をつくこと(自己欺瞞)に繋がってしまうことの危険性を、私は懸念しています。

皆さんは、この言葉についてどのように思われますか?



Preplyでビジネス日本語を教えています。日系企業で働いてみたい方、日本語の更なるスキルアップを目指す方など大歓迎です。お気軽にお問い合わせ下さい。

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