今日は、日本人上司に食事を奢ってもらう際のマナーについてお話ししていきます。
日系企業でお仕事をされていますと、日本人上司から食事に誘われるケースは一度や二度ではないかと思います。そういった場合に、いかにスマートに振る舞えるかどうかが、日系企業で働いていく上でそれからまた出世を考える上で非常に重要になってくるのではないでしょうか。
今回のブログでは、具体例を交えながら、どうスマートに奢ってもらうか、あるいは振る舞うかについてお話ししたいと思います。
日本人上司にご馳走になる際の基本的な考え方
まず、基本的な考え方として、上司があなたを食事や飲みに誘った場合、誘った方が最終的な会計をすると考えてまず間違いありません。これは日本人的な感覚からしてもそうです。つまり、上司が部下を食事に誘った場合、最終的にお金を払うのは上司であるケースが多いということです。
スマートな振る舞い方とは?
しかし、ここで誘われたからといって「奢ってもらって当然だよな」というような態度を取っていると、「こいつ可愛くないな」と思われてしまいます。
では、どうすればスマートに振る舞えるのでしょうか。いくつかご紹介します。
支払いを申し出てみる 会計の際に、上司に対して「いつも奢っていただいているので、たまには支払わせてください」とか、「今日は私にも出させてもらえませんか?」のように申し出てみるのは良い方法です。これにより、上司は「あ、こいついいところあるじゃないか」と思ってくれる可能性があります。
というのも、日本人の上司の中には、実は生活がカツカツで、家計が火の車、お小遣いも少ない という方も結構いるものです。部下の前ではそういったそぶりを見せられないということもあります。そうした事情を先回りして考えてあげて、相手が「奢ってあげる」と言ってくれた時でも、「奢ってもらって当然」という態度ではなく、「やっぱりちょっとぐらいは出します」という態度を見せることが大切です。そうすると、上司にしてみれば非常に可愛げが出てくるものです。そうすれば、「よし、また今度も誘ってやろう」という話になるわけです。
支払うそぶりを見せる これもスマートな振る舞いの一つです。実際に支払うかどうかは別として、とりあえず支払うそぶり、仕草を見せるのが良いでしょう。例えば、「少しぐらい私にも払わせてもらえませんか?」と言って、自分のお財布を出す、あるいはポケットに手を入れるぐらいのことはしても良いのかもしれません。そうすると、向こうからは当然「いやいやいや、今日はいいから」と言ってくれます。それが分かっていても、そういった素ぶりを見せることが大切なのです。
「今日はお前が誘ってきたんだから当然出すのが当たり前だろう」のような態度、「いや、今日はよかった。美味しかった。ありがとう」だけで終わる態度 を取っていると、日本社会では「この部下は分かってないな」「態度が良くないんじゃないか」と思われてしまう可能性があります。
会計時の立ち振る舞い 上司がお金を支払う際に、その横に立って待つのはあまりよろしくありません。いくら支払うかなどの姿が周りに見えてしまう状態だからです。
ここは、自分だけ先に店の外に出て立ち、上司が出てくるのを待つのが良いでしょう。「合格点」の立ち振る舞いです。そして、上司が出てきたところで**「今日はごちそうさまでした」と声をかける**のがスマートです。
翌日のお礼 奢ってもらった翌日には、上司のところにすぐに行って、「昨日どうもありがとうございました。ごちそうさまでした」と一言お礼を言うと、これはもう120点です。非常に良くできたサラリーマンだと思ってもらえるでしょう。
海外との文化の違い(参考情報)
ちなみに、この奢る・奢らないという問題は、国によって色々違いがあるようです。
例えば、私がベトナムで働いていた時のことです。あるベトナムのローカル企業に勤めていたのですが、日本人ではないベトナム人の同僚(私より年下ですが)が、ランチ代をそこにいた全員分まとめて払ってくれたことがありました。彼は特に役職者でもなかったのですが、非常に「男気」があるように感じました。私も自分の分は払おうとしたのですが、「ここは私が払います」と言って全部払ってくれたのです。これは一度きりの話ではなく、食事に行くたびに奢ってくれたりしました。
やはりベトナムの方は、誰がお金を払うか、奢るかという問題をかなり意識していて、メンツに関わってくる部分があるのかもしれません。ケチであるということは、彼らの社会では非常にまずいことなのでしょう。その辺り、日本人の感覚とは異なる部分があると思います。
日本人は、どこかに食事や飲みに行った時、割勘にしたがる人が結構多いように感じます。私がタイで働いていた時の日本人上司で、生活が厳しいのは分かりますが、誘っておいて「じゃあ次は割勘にしようか」とその場で言う方がいました。支払い方法を指定するような形で。私はそのたびに、なんだか人間が小さいなと感じてしまいました。もちろん、私自身は相手が誘ってきたからといって奢ってもらって当然だとは思いませんが、それでも上司が部下を食事や酒に誘う場合、やはり上司としては全部お金を払うぐらいのことはしないと、格好がつかないのではないでしょうか。
また、上司が部下を食事に誘う場合、部下は自分のプライベートな時間を使ってわざわざ食事に行っているわけです。どうしても断りきれない状況もあるわけですから。そういった状況で、誘った側がお金を支払わないというのは、これもこれでマナー違反なのではないかと感じます。日系企業では、今は減ってきていますが、未だにそういった文化があると思います。
まとめ
色々と述べてきましたが、日本人上司にご馳走になる際は、奢ってもらって当然という態度ではなく、一度は支払いを申し出たり、支払うそぶりを見せたりすることが大切です。そして、会計時には上司の横で待たず、外で待ってお礼を伝えるのがスマートな振る舞いです。さらに翌日改めてお礼を伝えることで、非常に良い印象を与えられるでしょう。
こうした少しの気遣いが、上司との人付き合いを円滑にすると思います。
今回の話が、皆さんの日系企業での働きに少しでもお役に立てれば幸いです。