最近、インターネットやSNSなどで「〇〇ガチャ」という言葉をよく目にしたり、耳にしたりしませんか? この「ガチャ」という言葉は、比較的新しい日本のスラングで、名詞の後ろにつけることで、「それがどうなるかは運次第である」といったニュアンスを表す言葉として使われています。 例えば、「上司ガチャ」とか「配属ガチャ」、そして今回お話しする「会社ガチャ」など、様々な〇〇ガチャがあります。
「ガチャ」ってそもそも何?言葉のルーツを探る
この「ガチャ」という言葉、どこから来ているのでしょうか?
もともとは、昭和の時代にあった「ガチャガチャ」というおもちゃ、皆さんもご存知かもしれません。 「ガチャポン」とも呼ばれていましたね。 コインを入れてハンドルを回すと、プラスチックのカプセルに入ったおもちゃがランダムに出てくる自動販売機のことです。 どんなおもちゃが出てくるか分からない、まさに運任せの仕組みでした。
そして現代では、この「ガチャ」という言葉は、スマートフォンゲームにおけるランダム報酬の仕組みを指すことが多くなっています。 お金を使ってガチャを回し、強力なアイテムが当たることもあれば、残念ながらハズレが出てしまうこともあります。 この時に「ガチャ運が悪い」といった言い方もされますね。
「会社ガチャ」とは?当たりの会社とハズレの会社
では、「会社ガチャ」とは具体的にどういうことでしょうか?
これは、就職した会社が良い会社かどうかが、実際に入ってみないと分からない、まさにガチャのように運次第である、という意味で使われる言葉です。
「当たり」の会社に入社できた場合と、「ハズレ」の会社に入ってしまった場合で、以下のような違いが出てくる可能性があります。
- 給与・昇給:当たりの会社では給与がたくさんもらえたり、昇給があったりします。一方、ハズレの会社では給与が安く、昇給もあまりないといったケースも。
- 労働時間:当たりの会社では休みが取りやすかったり、残業がほとんどなかったりします。ハズレの会社では長時間労働を強いられたり、場合によっては休日出勤があったりすることも。
- 人間関係:当たりの会社では上司や同僚に恵まれることが多いでしょう。反対に、ハズレの会社ではパワハラが横行していたり、非常に意地悪な上司がいたりする可能性も。この場合、「上司ガチャで悪い(ハズレ)を引いちゃったな」と感じるわけです。
- 会社の文化:当たりの会社は非常にオープンで風通しが良く、自分の意見が言いやすかったりします。ハズレの会社では、昭和の体質が残っていたり、体育会系の厳しい雰囲気があったり、ブラック企業のような体質が見られたりすることもあります。
どれだけ準備しても避けられない現実?
もちろん、誰もが「当たり」の会社に入りたいと思っていますし、わざわざ「ハズレ」の会社に行きたい人なんていませんよね。
入社前の就職活動や転職活動では、皆さん一生懸命に会社について調べたり、自己分析をしたりして、「この会社なら大丈夫だろう」と慎重に吟味して進むと思います。 面接では、将来の上司になるであろう面接官と話をして、「この人の下で働けるなら成長できそうだ」とポジティブな影響を受けて、入社が楽しみになることもありますよね。 心の中では期待でいっぱいになり、「この会社に入ったら楽しいことが待っているぞ」とワクワクするものです。
しかし、残念ながら、思っていた通りに就職や転職がうまくいくことばかりではないのが現実です。 転職を経験された方なら実感されることが多いと思いますが、どれだけ事前にしっかり調べ、吟味したとしても、失敗してしまう転職はあります。
実際に入社してみたら、
- 面接の時はそんな素振りも見せなかったのに、入社後にパワハラ気質の上司だと分かった。
- 給与や待遇が思い描いていたものと違った。
- 期待していた仕事内容と違った。
- 試用期間中に早くも職場の人間関係に問題が見られたり、ブラック企業のような体質が見え隠れしたりする。
といったことは、本当によくあることなのです。 転職を経験すれば、一度や二度ではなく、このように「会社ガチャが悪かったな」と感じるような状況に直面することは十分にあり得ます。
会社ガチャとの賢い向き合い方:期待しすぎないこと
では、このような避けられない「会社ガチャ」の側面と、私たちはどう向き合えば良いのでしょうか?
ここで私が強調したいのは、「次の会社」というものにあまり期待しすぎないということです。
もちろん、就職活動や転職活動は一生懸命行いますし、入りたい会社があれば事前にしっかりと調べます。 面接で会った人が良い人だと、期待で気持ちが盛り上がることも当然あります。 しかし、そのワクワク感が最高潮に達した状態で入社すると、もし現実が期待と違った場合に、その反動で大きく落ち込んでしまう可能性があります。
ですから、良い面も悪い面も含めて、「まあ、こんなものかな」というくらいの気持ちで捉えることが大切なのではないでしょうか。 たとえ会社ガチャに成功して、いわゆるホワイト企業に入れたとしても、半年後や1年後に状況が変わる可能性もあります。 その時に愕然としないためにも、最初から必要以上に期待を膨らませすぎない姿勢が重要なのです。
会社で働くということは、自分で結果を完全にコントロールできるわけではありませんし、周りの環境をすぐに変えることも難しいのが実情です。 だとすれば、やはり周囲に期待しすぎず、**良いことも悪いことも含めて、起こる出来事を全て「淡々と受け入れていく」**という姿勢が、会社員として働く上で非常に大切になるのではないかと私は思います。