なぜ、権力者はお局について語らないのか?〜職場の「暗黙のルール」を考える〜

2025年7月14日月曜日

日系企業の文化

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こんにちは。今回は、多くの人が気になっているにもかかわらず、なかなか口に出すことができない「お局(おつぼね)」という存在について掘り下げていきたいと思います。特に、「なぜ権力者はお局について語らないのか」というテーマに焦点を当てます。これは単なる「あるある」話ではなく、社会や組織の「暗黙のルール」に深く関わる問題です。

お局とは何か?

まず、お局とは具体的にどのような存在なのでしょうか。 日系企業を中心に、職場で社歴の長い女性社員が「お局」と呼ばれる存在になりやすいとされています。彼女たちは役職を持たないにもかかわらず、社歴の長さから社内の風土を握る存在となることがあります。時には上司さえもお局に意見を言えず、まるで**「明文化されない権力」を持つ非公式な支配者**として振る舞うことがあります。

  • 若手社員は「お局さんを怒らせたら、その会社ではやっていけない」と注意されることさえあるほど、その支配力は絶大です。
  • お局は、社内の人脈、情報、社内の空気、あらゆる噂を握っており、若手を動かす力も持っています。
  • 敵に回すと非常に恐ろしく、陰湿な嫌がらせや心理的な支配によって、若手社員を追い込むこともあります。

筆者もタイで働いていた際、現地企業にお局が存在し、苦労した経験があります。また、日本人の駐在員からも、お局に関する愚痴をよく聞きました。総務の仕事にお局が関わると、駐在員でさえ仕事がやりにくくなる場面もあるようです。この問題は、どこでも社内の空気を悪くしたり、時にはいじめの原因となったりするなど、共通の課題であると言えるでしょう。

なぜ権力者はお局について語らないのか?

役職にない、ただ社歴が長いだけの社員が社内で権力を握ることは、本来の組織の理屈には合いません。ピラミッド型の組織では、役職者が権力を持ち、指揮命令系統が機能することで組織が正常に機能するはずだからです。しかし、このお局の存在を公にすることは、組織が「統治不能」であること、つまり「コーポレートガバナンスがしっかりなされていない」ことを会社自身が認めることになってしまうため、公には語られないのです。

また、皮肉なことに、現在組織の偉い立場にいる人々が若手だった頃、お局に仕事上で頼っていたケースも少なくありません。これは、いわば**「自分の人事のツケ」が「女帝化して戻ってきている」**という状況とも言えるでしょう。そのため、上から下まで、お局に対して「黙認する」という選択肢が取られがちになります。

お局問題がもたらす悪影響

お局の問題が放置されると、組織には様々な悪影響が生じます。

  • 若手社員の消耗と離職:特に女性社員は、お局の存在に精神的なダメージを受け、会社を辞めてしまうことがあります。
  • 男性上司の萎縮:男性の上司も、お局に気を使い、本来のリーダーシップを発揮できなくなることがあります。お局の顔色をうかがうことで、組織が引き締まらない状況が生まれてしまいます。
  • 組織の進化とダイナミズムの停止:結果として、組織の進化が止まり、ダイナミズムが阻害されてしまうのです。

この状況は「組織の病巣」とも言えるものですが、不思議なことに、この問題を無視しているからこそ、組織が安定しているという矛盾も存在します

どのように対処すべきか?

では、この根深いお局問題にどう対処すれば良いのでしょうか。 お局を「潰す」「消し去る」のではなく、「包み込む」ことができる「包容力を持ったリーダー」が必要だと私は思います。

  • 例えば、人間関係の信頼を築くのが得意だった田中角栄のような政治家や、人情に厚い西郷隆盛のようなリーダーが理想的です。
  • このようなリーダーは、お局ときちんと信頼関係を築き、「言うべきことは言う」一方で、「お局の立場は潰さない」という絶妙なバランスで対応できる人物だからです。

そして、最も重要なこととして挙げられているのが、「誰も語らない」という現状を変え、皆が「あえて語る」ことです。この「語る」という行為こそが、職場の空気を変える第一歩となるでしょう。

世の中の社長や上司は、お局に対して「黙して語らず」という態度を取りがちです。しかし、それでは何も変わりません。お局の立場を尊重しつつも、彼女たちが不必要に権力を行使し、若手や上司を萎縮させてしまう状況を改善しなければ、組織は良くならないのです。



Preplyでビジネス日本語を教えています。日系企業で働いてみたい方、日本語の更なるスキルアップを目指す方など大歓迎です。お気軽にお問い合わせ下さい。

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