「明日から本気出す」のススメ──ストイック信仰にモノ申す

2025年7月14日月曜日

考えかた

t f B! P L

今回のテーマは、普段よく耳にするけれど、どこかネガティブに捉えられがちなあの言葉、「明日から本気出す」についてです。

この言葉は、日本の社会やインターネット上で、「怠け者の代名詞」や「逃げの言い訳」として批判されることが多いですよね。しかし、私は思うのです。「この言葉は本当に悪いことなのだろうか?」と。

人間には「本気」を出し続ける限界があります

まず、考えてみてください。「本気」で何かに取り組むという状態は、そう簡単に維持できるものではありません。人間が持っている集中力や意思力、精神的なスタミナは、すべて有限なのです。まるでAIのように、疲れ知らずに常に正しい答えを出し続けたり、全力疾走でトラックを走り続けたりできる人など、まずいません。

会社でも、学校でも、家庭でも、私たちは毎日「何かをやらなきゃ」という思いに囲まれています。たとえ自分の夢のためであっても、毎日同じだけの気力が湧いてくることは、ほとんどないのが現実です。

朝、目が覚めても気分が乗らず、頭が重い感じがしたり、パソコンを開いても何も進まず、SNSを眺めているうちに時間が過ぎてしまう…そんな日、誰にでもありますよね。そういった日には、「なんで自分はできないんだろう」「これは怠けているだけじゃないか」と、自分を責めてしまいがちです。

「休む」ことも大切なサインかもしれません

しかし、そうした考えは、本当に「怠け」なのでしょうか?私は、それはもしかしたら**「ちょっと休みましょう」という、体や心からの休息のサイン**かもしれないと思います。

今の時代、SNSやYouTubeでは、「人生を変えたければ朝5時に起きなさい」「成功者は365日休まず仕事する」といったストイックなメッセージが溢れています。もちろん、そうしたストイックなやり方が合う人もいますが、それを目にして「自分もそうしなきゃ」と思ってしまうのは危険だと感じます。なぜなら、それがあなた自身の本来のリズムではないかもしれないからです。人はそれぞれ違っていて当たり前なのですから。

「明日から本気出す」は「希望の火」を消さないための言葉

私が今回伝えたいのは、「今日はもう無理だな、でも明日からやろう」と考えることは、**「やる気の火を完全に消さないための、ギリギリの希望」**だということです。

もし、「今日やらなきゃ終わりだ」と思ってしまったら、かえって心が折れてしまい、二度と始められなくなるかもしれません。しかし、「明日からでもいいんだ」と思えれば、それは未来の自分にバトンを渡すことができます。そして、それこそが実は「強さ」になり得るのです。

一度「やるぞ」と決めたことをやり続けることはもちろん大切ですが、途中で「もうダメだ、続けられない」と感じる瞬間があるのは自然なことです。そこで一度立ち止まり、休むことも選択肢の一つです。一度やめていたものをもう一度やり直す、そこには**「レジリエンス(回復力)」**の力が必要になります。物事を長く続けるためには、ただ全力疾走するだけではない、それなりの考え方が必要なのです。

休む時間も、大切な「生産性」に繋がります

「明日から本気出す」という言葉は、一見すると自分に甘い言葉に見えますが、不思議なことに、ちゃんと次の日に本気を出すことができる場合があります。私自身も、今日は全く何もできなかったけれど、次の日にはスイッチが入ったかのように文章がスラスラ書けたり、アイデアが次々と浮かんだりした経験が何度もあります。それは、一度完全に休んだからこそ得られた状態なのです。

つまり、「休みの効用」「サボりの効用」は確実に存在するということです。ただ単に時間を無駄にしているように見えても、脳の中では情報が整理されていたり、無意識のうちにアイデアが熟成されていたりするのです。特に何かを学ぶ「インプット」の際には、その内容が難しければ難しいほど、それが自分のものになるまでには時間がかかります。それはまるで、野菜を漬物にするように、考え方が「発酵」する時間が必要なのです。

Netflixでドラマを見て笑ったり泣いたりする時間も、ちゃんと人生に栄養を与えてくれます。一見生産性がなくても、感情を回復する大切な時間なのです。

大切なのは「自分との対話」

もちろん、「明日から本気出す」を一生繰り返していたら、本当に何もせず時間が過ぎてしまう可能性もゼロではありません。だからこそ、必要なのは**「自分との対話」**です。

「今日はどれくらい疲れているんだろう?」「本当に今、休むべき時なのだろうか?」「それとも、少しだけやってみるか?」と、自分自身に問いかけてみてください。その問いかけの結果、「今日は何もしない」と自分に許可を出せたのなら、それはそれで良いのです。

この「明日から本気出す」という言葉は、他人のルールに縛られず、**「自分のタイミングを信じる言葉」**だと、私はポジティブに捉えています。自己啓発の業界ではストイックな思考がもてはやされがちですが、自分のペース、自分の波、自分の呼吸を信じて動くことが大切です。

たった一日、ちゃんと休んで、次の日にすっと始められる──そんなリズムの人間がいても良いのです。

今日休んだとしても、別にかまいません。**明日から、少しだけ本気を出していく。**それでも大丈夫なのです。



Preplyでビジネス日本語を教えています。日系企業で働いてみたい方、日本語の更なるスキルアップを目指す方など大歓迎です。お気軽にお問い合わせ下さい。

このブログを検索

ブログ アーカイブ

連絡フォーム

名前

メール *

メッセージ *

ポッドキャスト ビジネス日本語講座

QooQ