なぜ「毒にも薬にもならない話」が求められるのか?職場での会話から考える

2025年8月11日月曜日

サラリーマン

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こんにちは。皆さんは、会社での雑談や日常会話の内容に違和感を覚えたことはありませんか?筆者はかつてサラリーマンとして国内外の様々な会社で働いた経験がありますが、特に日本の会社で最も違和感を覚えたのが、同僚や上司との雑談の内容でした。

「毒にも薬にもならない話」とは?

私たちが日常でよく耳にする「毒にも薬にもならない話」とは、具体的にどのような内容を指すのでしょうか?

  • 典型的な話題: 会社の仕事の他には、スポーツやギャンブルの話が定番として挙げられます。
  • 安全な理由: これらの話題は、誰も傷つけることがなく、また個人の信念や心情、主義主張がぶつかることもないため、非常に安全な会話だと考えられています。

筆者も、そのような会話に参加していると「自分もサラリーマンらしくやれているな」と感じることもありましたが、同時に**「すごく虚無的で、空虚だ」**と感じていました。会社に適応する術は得たものの、学生時代に比べて読書量が減り、物事を深く考える時間が減ったことで、知的なレベルが下がったかもしれないと感じました。

なぜサラリーマンは思想の薄っぺらい会話になりがちなのか?

では、なぜサラリーマンはそうした薄っぺらい会話ばかりになってしまうのでしょうか?その背景にはいくつかの理由が考えられます。

  1. ビジネス以外の話題への無関心: 多くのサラリーマンは、ビジネスの話題以外にほとんど関心を持たなくなる傾向があるようです。社会には国家間の戦争、地球環境問題、異なる宗教観の争い、国内外の政治問題など、多くの重要な問題が存在します。しかし、ほとんどの人はこれらの問題に関心を向けません。
    • 「自分に関係ない」: 無意識のうちに、それらの問題が自分の人生に直接関係ないと感じてしまうためです。
    • 「コントロールできない」: また、そういった大きな問題は自分ではコントロールできないと感じてしまうことも理由の一つです。
  2. 難しい話を避ける空気: 特に日本人によくある傾向として、上記のような重要で大きな問題の話をすると、「難しい話はするなよ」という空気が生まれてしまうことがあります。その場の雰囲気を損なわないように、誰もが参加でき、誰も傷つかない安全な話題を選び、**その場を取り繕うこと(お茶を濁すこと)**が重視されるため、無難な方向に流れていってしまうのです。
  3. ビジネス・自己啓発話の許容性: ビジネスや自己啓発に関する話題は、比較的抵抗なく語られます。これは、お金儲けの成功などが証明や検証がしにくく、論争になりにくいためだと考えられます。結果として、誰も傷つかず、誰の気分も害さない無難な会話が成立しやすいのです。

「思考停止」がもたらすもの

個人が思考を停止し、無関心や虚無感に陥ることが集団化すると、どのような結果を招くのでしょうか?

  • 社会的な分断: 個々人の無関心は、結果として社会的な分断につながっていくと私は考えています。先進国を中心に貧富の格差が広がり、階層社会の問題も今後ますます固定化される可能性があります。
  • 権力者にとって都合の良い状況: 人々が思考停止に陥り、政治的な無関心や快楽主義に流れることは、国を治める為政者や政治家、そして潤沢な資金を持つ巨大な多国籍企業の経営者にとって都合の良い状況でもあります。
  • 人生を単純化する傾向: 人生は本来、運の問題や人間関係、矛盾など、割り切れない複雑な側面を持っています。しかし、多くのビジネスマンは哲学的な話題を嫌い、「そんなことを考えても仕方ない、それよりも金儲けを考えよう」と、思考を停止してしまう傾向が生まれます。

より豊かな人生のために

世の中や人生に対して思想が浅薄な態度を取ることも、個人の価値観の問題として必ずしも悪いことではありません。しかし、ビジネスで成功したいのであれば、広い関心を持つことが実は重要ではないでしょうか。一見すると役に立たないようなことが、後々ビジネスに役立つケースはよくあるからです。

また、お金儲けで成功したとしても、知的な教養の面で「チンピラと変わらない」ような状態では目も当てられないです。もちろん、それも個人の価値観なので問題ないとする人もいるかもしれませんが、関心を広げ、視野を広げることで、人生はより豊かになるのではないでしょうか。

「毒にも薬にもならない話」でその場を取り繕うことは、世の中を生きる上でよくあることかもしれません。しかし、職場でももう少し実のある話ができれば、もっと職場は楽しくなるのではないでしょうか。


Preplyでビジネス日本語を教えています。日系企業で働いてみたい方、日本語の更なるスキルアップを目指す方など大歓迎です。お気軽にお問い合わせ下さい。

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