こんにちは、茂樹です。
転職には少なからず不安がつきまといます。新しい職場で成果を出せるのか、上司とうまくやっていけるのか、職場に馴染めるのか、試用期間を突破できるのか…。突き詰めれば、「新しい環境で人間関係を築き、自分の居場所を作れるかどうか」が鍵になります。
では、新しい職場で最も気をつけるべきことは何でしょうか。多くの方が意識するのは直属の上司だと思いますが、実際にはそれだけでは不十分です。私自身の経験からも、直属の上司に評価されるだけでは足りないことを痛感しました。
実体験から学んだ、日系企業の人間関係
かつて私は、日本の機械部品工場で技術営業として働いたことがあります。入社のきっかけは、若い二代目社長に気に入られたことでした。ところが実際に工場を仕切っていたのは、長年現場を支えてきたベテラン社員たち。社長は経営に関わるものの、現場の指揮はほぼ彼らに任されていました。
その結果どうなったかというと、社長には評価されていても、現場の社員たちには好かれず、わずか2ヶ月で事実上追い出される形になってしまったのです。
この経験から学んだのは、日系企業においては直属の上司だけでなく、社内全体の人間関係に配慮する必要があるということでした。仕事の能力だけでは「人望がない」とされることがあり、中途入社であればなおさら、まずは周囲に自分の人柄を知ってもらう努力が欠かせません。
もちろん、仕事以外の「空気を読む努力」を強要する風土には疑問もあります。こうした同調圧力が、生産性を下げる原因になっているのも事実でしょう。ですが、もし日系企業で働くのであれば、社内の人間関係に気を配ることは避けられない現実でもあるのです。
海外でも同じ?タイでの経験
これは日本だけの話ではありません。私がタイの化学メーカーで営業をしていたときのことです。最初は日本人駐在員もタイ人社員も歓迎してくれて、カラオケに誘われたり、タイ語の歌を披露して喜ばれたりと、良好な関係を築けていると思っていました。
しかしある日、タイ人の同僚からこう言われたのです。
「あなたは日本人なのに、なぜゴルフをやらないのか?」
彼の言葉の裏には「日本人営業マンなら、取引先とのゴルフを通じて関係を築くべきだ」という意識があったのでしょう。私は正直に「ゴルフは好きではない」と答えましたが、どうも納得されなかったようでした。
ここでも感じたのは、「うちの会社に来た以上、周りのやり方に合わせろ」という無言のメッセージです。国や文化が違っても、新参者に求められる「同調」の圧力は存在するのだと思います。
新しい職場で認められるために大切なこと
転職後に求められるのは、単に直属の上司に認められることではありません。周囲の人々を観察し、彼らが何を大事にしているのかを理解し、必要に応じて合わせる姿勢が大切です。
もちろん、自分の信念や価値観をすべて捨てる必要はありません。ただ、転職直後は「こだわり」よりも「柔軟さ」を意識したほうがうまくいく場面が多いはずです。
「誰か一人さえ押さえておけば大丈夫」という考え方は危険です。上司、同僚、他部署、さらには社外の人間関係まで含めて、全体を見渡しながら柔軟に対応していくことが、新しい職場で成功する秘訣だといえるでしょう。
まとめ
転職後に認められるべき相手は、直属の上司だけではありません。社内の人間関係全般に気を配り、周囲の期待や文化にある程度合わせる努力が必要です。
もちろん、過剰な同調圧力に疑問を持つのは自然なことです。しかし、転職という大きな変化を成功させるためには、まずは「観察」「柔軟さ」「配慮」が欠かせません。
次に転職を考える際、今回の話が少しでも参考になれば幸いです。