現場主義と理論思考:ビジネスを成功に導く「バランス」という視点

2025年9月13日土曜日

ビジネス

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ビジネスの世界では、「現場経験」と「理論思考」のどちらを重視すべきかが常に議論になります。どちらも強みを持ち、同時に限界を抱えているからです。私自身、ベトナムで働いていたときの経験から、この二つの関係について深く考えさせられました。


ベトナムでの経験から見えた対立

外資系の内装会社に勤めていた頃、50代の日本人プロジェクトマネージャーと、シンガポール人のエリアマネージャーが激しく対立していました。

日本人マネージャーは長年の現場経験を武器にし、一方のエリアマネージャーはおそらくMBAを背景に理論的に経営を語るタイプ。衝突の末、日本人マネージャーはこう言い放ちました。

「あいつは現場を知らずに理屈ばかり言っている」

この場面は、現場主義と理論思考がいかに噛み合わず、しかし両方が不可欠であるかを示す象徴的な出来事でした。


現場主義の強みと限界

現場主義には大きな強みがあります。

  • 問題にすぐ対応できる即応力

  • 短期的な判断の正確さ

  • 日々の業務や品質維持に直結する成果

日本企業でよく言われる「現場・現物・現実」という言葉は、この強みを端的に表しています。

しかし現場主義だけに頼ると、いくつかの落とし穴もあります。

  • 大局観を見失いやすい

  • 戦略や将来像を描けなくなる

  • 「泥臭いだけで知的ではない」と評価されかねない

  • 業務に追われるあまり長期戦略を考える余裕を失う

歴史を振り返れば、日本が第二次世界大戦で敗れた背景にも、この「大局観の欠如」があったと私は思います。局地戦では勝てても、戦争をどう終わらせるか、戦後をどう築くかといった戦略的な視点が欠けていたのです。


理論思考の価値と危険性

理論思考はその対極にあります。

  • 長期的な戦略を描ける

  • 組織全体の舵取りを担える

  • 社会や市場とどう向き合うかを考えられる

企業にとって不可欠な役割を果たします。

ただし、現場から離れすぎると「理屈ばかり」と見なされ、現実感を失う危険があります。最近の日本企業では、若手社員が現場を避け、経営企画など「スマートに見える部署」を志望する傾向があります。これは、現場軽視と理論偏重のリスクを物語っています。


バランスこそが勝利の方程式

結局のところ、答えはシンプルです。
現場経験と理論思考の両方を身につけること

「現場ではこうだけれど、理論的にはこう考えられる」と柔軟に切り替えられる人こそが、真に評価されます。片方だけでは「ただの作業者」や「机上の空論家」で終わってしまうでしょう。

若いうちから両輪を意識して学ぶことが、長期的な自己成長につながります。


まとめ

  • 現場主義は即応力と実効性を生むが、大局観を失いやすい

  • 理論思考は戦略や未来像を描けるが、現実から乖離しやすい

  • 成功の鍵は、その両方をバランスよく取り入れること

ビジネスにおいては、どちらかを否定するのではなく、両立させる柔軟さが求められます。そのバランスこそが、変化の激しい現代を生き抜くための「勝利の方程式」なのです。


Preplyでビジネス日本語を教えています。日系企業で働いてみたい方、日本語の更なるスキルアップを目指す方など大歓迎です。お気軽にお問い合わせ下さい。

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