なぜ、あの「偉そうな人」が出世するのか? 日本社会に潜む奇妙な真実

2025年9月20日土曜日

日系企業の文化

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皆さん、こんにちは。

皆さんの職場や身の回りには、「なぜかいつも偉そうに振る舞っているのに、出世している人」や「一目置かれている人」はいませんか? 日本の企業社会には、時に首をかしげたくなるような奇妙な現実が存在します。今日は、「なぜ偉そうな人が出世するのか」というテーマで、日本社会に根付くある特性と、その背景にある人間心理について考えていきたいと思います。

職人文化の光と影:傲慢な態度が助長される社会?

日本には、古くから職人を尊重する文化があります。伝統の技や代々受け継がれる味といったものを高く評価する風潮は、日本の魅力の一つであることは間違いありません。しかし、この職人文化が過度に尊重されすぎると、職場にいる横柄な人や偉そうな人を増長させてしまう問題も孕んでいます。

町工場や飲食店、さらには工事現場など、日本の様々な場所で、スキルや実績はあるものの、人に対して傲慢な態度を取るタイプの人は少なくありません。私は「だからといって、人に傲慢な態度を取っていい理由にはならない」と感じています。しかし、どういうわけか、日本社会ではそうした「偉そうな人」が許容されてきた傾向があるのです。

かつて東京都知事をやった政治家も、メディアでの発言が「尊大で偉そう」であったにもかかわらず、多くの支持を集めていました。記者会見での偉そうな態度や、時に物議を醸すような差別的な発言があったにもかかわらず、有権者からの人気があったという事実は、「日本という国はとても奇妙だな」と感じさせるものがあります。

「偉そうな態度」が「自信」と「政治力」に見えるメカニズム

では、なぜ偉そうな態度が日本社会で一定の評価を得てしまうのでしょうか。そこには二つの大きな要因があると考えられます。

まず一つは、日本人が「偉そうな態度」を「自信がある」「堂々としている」と好意的に受け取ってしまう傾向があるのではないか、という点です。自信に満ちた姿勢は魅力的に映るものですが、それが過剰な傲慢さであっても、なぜかポジティブに捉えられてしまうことがあるのです。

もう一つは、偉そうな人には「政治力」があるという側面です。彼らの前にいると、周囲の人々は「今日は機嫌が良いのだろうか、悪いのだろうか」「こんなことを言ったら怒られるかもしれない」といった不安を感じ、つい相手の顔色を伺ってしまいます。これは、すでに相手に「支配されている」状態と言えるでしょう。このような支配・被支配の関係は、決して健全な人間関係とは言えませんが、現実社会では家庭内、会社の上司と部下の関係、さらには政治の世界に至るまで、あちこちに見られます。そして、往々にして「偉そうな人」がリーダーになりやすいという、人間社会の深い問題がここには潜んでいます。

「ご苦労さん」に込められた傲慢さ:筆者の体験談

私自身の営業時代の体験からも、この「偉そうな人」の存在を感じたことがあります。以前、日本のとある中部地方にある部品製造工場で営業をしていた際のことです。その工場は、年配の職人が工場内を牛耳っているような状態でした。製造現場だけでなく、なぜか年配の営業マンの男性までもが、とても偉そうに振る舞っていました。

ある朝、私が出勤した時、まだ誰もいない広い工場内で、遠くからその男性がやってくるのが見えました。私が元気よく「おはようございます!」と挨拶すると、その人の返事は「あ、ご苦労さん」だったのです。この「ご苦労さん」という言い方から、私は言いようのない傲慢さを感じました。言葉自体は決して偉そうではないかもしれませんが、「言葉はその人の人格と結びついている」ものですから、受け取る側にとってはひどく傷つけられたり、腹立たしく感じたりすることがあります。心の中では「何がご苦労さんだよ!」と、悔しく思ったのを今でも鮮明に覚えています。

おそらくその人は、長年工場を支えてきた「立役者」であり、多くの「功績」があったのでしょう。しかし、だからといって他人に対してあのような振る舞いをして良いのか、と深く考えさせられた出来事でした。

企業社会の現実と人間心理の難しさ

会社という組織の中でも、同様の現象は日常的に起こります。声が大きい人や、自信満々な態度を取る人の方が、冷静で客観的な意見よりも評価されやすい傾向にあります。一方で、たとえ実力があったとしても、自信なさそうにしていると損をしてしまうのが、人間心理の難しいところです。

もちろん、無理に「オラオラ系」になろうとしても、大抵の場合はうまくいきません。人にはそれぞれ向き不向きがありますし、リーダーシップを発揮する形も人それぞれです。しかし、「偉そうな人が得をする社会の構造はやっぱりおかしい」と筆者は強く感じています。

日本の企業社会では、「声の大きな人間が勝つ」という現実があります。この事実を冷静に受け止めつつも、私はこれからも情報発信を通じて、社会のあり方や日本人の特性について深く考えていきたいと思っています。

あなたの周りではどうでしょうか?

最後に、この記事を読んでくださっている皆さんに問いかけたいと思います。あなたの職場や、あなたが住む国ではどうでしょうか? やはり「声の大きな人間が勝つ」のでしょうか? それとも、声は小さくても、自分の意見をしっかり持ち、深く考えて発信している人の意見が通るような環境にあるでしょうか?

ぜひ、皆さんの周りの状況を少し振り返ってみてください。



Preplyでビジネス日本語を教えています。日系企業で働いてみたい方、日本語の更なるスキルアップを目指す方など大歓迎です。お気軽にお問い合わせ下さい。

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